日本生協連は、内閣府の委託を受けて、食品の表示に関する信頼性・わかりやすさ・苦情相談と食品表示のあり方等について消費者の意識を明らかにし、今後のルールづくりに活かすことを目的に、「食品表示に関する消費者の意識調査」を今年5月に実施し、その結果を6月7日に速報版として発表した。この調査は、日本生協連ウェブサイト上に調査項目を掲載し、会員生協の協力を得てインターネットを通して組合員から回答を得たもので、有効回答数は4326件。
調査結果を見ると、食品表示の信頼性が大きく損なわれていることがわかる。
普段、食品を買うときに、食品表示を「よく見る」「必要な表示を中心に見る」人は合わせて92%となり、消費者が食品を選択するための情報として表示を役立てていることがわかる。
しかし、表示が1年前に比べて「信用できなくなった」という人が78%あり、これに「前からそう」という人を加えると、82%以上の人が「信用できない」と回答している。これは、多発した偽装事件等が消費者の信頼感に大きな影を落としているためだと推定される。
とくに肉類では、「産地表示」を信用できるとした人は「どちらかといえば」という人を加えても29%にすぎず、70%の人が「信頼できない」ないとしている。また、肉類は「表示されている通りかどうか食べてもわからない」と81%の人が回答した。消費者のさまざまな不安や不信を取り除き、信頼を回復するためには、適切な表示の実施が急務だといえる。
正しい表示をさせるために、違反があった場合はすぐ公表するような制度、行政による規制の強化等の制度改革を望む消費者が多い。
「食品表示をわかりやすくするため役立つと思うこと」という設問では、「説明に用いる言葉は統一し、わかりやすく整理してほしい」と回答した人が85%にのぼった。これは賞味期限・消費期限・品質保持期限等の説明と区別、無農薬・減農薬・有機栽培等の明確な説明、国産牛・和牛の区別と説明等、分かりにくい用語の氾濫が大きな原因となっているからだろう。
食品表示に関して苦情を言いたいと思った経験のある人は63%もいるが、実際に苦情を持ち込んだ人は9%しかなく、公的な苦情処理体制の整備も必要だといえる。
この調査結果の詳細は、日本生協連ホームページhttp://www.co-op.or.jp/jccu/の「プレスリリース」で公開されている。