政府は6月11日、既存の役所から独立した新しい行政機関として「食品安全委員会」(仮称)を設置することを決めた。牛海綿状脳症(BSE)発生が「重大な失政」とされ、食品行政への不信が募っているため食の安全確保に向け、来年夏ごろにも内閣府に設置し、農水相、厚労相とは別に担当大臣を置く。同委員会は食品の安全を科学的に調べて「リスク評価」をし、両省に対して「リスク管理」を勧告する。また管理の状況もチェックする。
設置にともない行政が肥大化しないよう農水省の食糧庁は廃止となり、また産業振興担当部門から、リスク管理部門を切り離すなどして組織を再編する。厚労省も同じく機構を見直す。
また、設置の根拠となる「食品安全基本法」(仮称)を制定する。来年の通常国会に法案を提出する方針。内容は「国民の生命と健康の保護」などを目的とし「食品の安全性の確保に関する施策を総合的に策定し実施する」ことを国の責務とした。
一方、事業者の責務では「食品の安全性を確保するための一義的な責任」を負うとともに「正確で適切な情報の提供」も挙げた。
消費者の役割では、食の安全の▽知識と理解を深め▽意見表明の機会などを活用することとした。
そして「食品の安全性確保に関する施策の決定・改廃は原則としてリスク分析手法に基づき実施する」と同行政にリスク分析手法を導入することをうたった。 情報公開、消費者が意見を表明する機会の確保などリスクコミュニケーションの強調も盛り込んだ。
欧州各国はBSE問題以後、食品安全の行政機関を大幅に改編したが、日本もそれをならうことになる。これらは「食品安全行政関係閣僚会議」で決めた。なお食品安全委員会は専門家数人で構成。非常勤や事務局を含めた規模は200〜300人規模の予想。