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農政・農協ニュース

平均0.35%値下げ 肥料価格交渉が決着
物流コスト削減 メリット還元も――全農 (6/21)

 平成14肥料年度(7月〜来年6月)の価格交渉は0.35%(主要12品目平均)の値下げで決着したとJA全農が20日発表した。昨年は1.61%の値上げだったが、今年は2年ぶりに下げた。
 各品目で据え置き、または値下げで合意したが、ただ有機入り肥料の中には牛海綿状脳症(BSE)の影響で輸入蒸製骨粉が使用できないため値上がりする銘柄もある。
 肥料需要は、ここ10年間で3割も減っている。このため3月中旬からの交渉でメーカー各社は固定費と環境対策費の増加などを理由に主要品目平均で約3%値上げを求めた。
 しかし全農はコストアップ要因をすべて合理化努力で吸収するよう要求して難航。結局、各品目とも加工費は据え置きとし、リン鉱石やカリなどの海外原料は全農のリスクで値下げとした。海外原料は国際的に値上げが浸透する中で、全農は山元から強い値上げ要請を受けて交渉中だ。
 為替レートは1ドル121円を織り込んだ。
 こうした背景には、経済連と全農の統合が進んでいるのに生産資材の値下げテンポが遅いなどというJA改革をめぐる議論もある。 すでに全農は開発輸入している高度化成肥料「アラジン」を13肥料年度から「10トン満車での直送」の場合は、同成分の国産肥料に比べ3割安で担い手農家に供給。年間実績は470トンとなった。
 14肥料年度は、この条件を全農が輸入する尿素、石灰窒素、溶リン、ヨーロッパ化成に拡大すると同日発表した。全体として1割から3割の値下げとなる。
 13肥料年度のアラジン供給実績は9万トンの見通し。14肥料年度は12万トンを目標に、BB肥料と共に生産資材コスト低減の最重点品目として普及拡大に取り組む。
 また物流コスト削減メリットを組合員に還元するため14年度は戸別の配送拠点30ヵ所を目標に整備。累計56拠点とする。

肥料価格の推移(対前年変動率)


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