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農政・農協ニュース

虚偽表示への自主的ペナルティなどを提言
――JA全中の経済事業刷新委が中間まとめ

 JA全中の経済事業刷新委員会は6月21日、議論の中間とりまとめをし、生産者と消費者による「食と農の安全・安心委員会」を全国すべてのJAに設置することなどを提起した。信頼構築のためには、消費者モニターによる食品表示の検証などが必要だが、その具体化のためにも「委員会」がいるとした。
 また原産国(地)の虚偽表示には、JAグループが自主的にペナルティを課すことなどを提言。
 さらに▽産地の確認方法では、統一基準を作るなど第三者がチェックできるシステムを早く構築し▽優良誤認を招くような表示への対策ではJAグループにも独自の基準が必要であると指摘した。
 「消費者相談窓口」については、消費者の要望や苦情を聞いて、それを事業に反映させることは必要不可欠のことであるという認識で実践的に取り組んでいく必要があると強調した。
 経済事業刷新委員会は消費者、学識経験者、生産者、JA組合長からなり、4回の議論を重ねた。中間まとめを踏まえて全中は刷新方策の具体化を検討する。
 中間まとめはトレーサビリティ(生産・加工・流通過程を追跡できる仕組み)システムの導入は危機管理の観点からも必要だが、かなりの投資と運用コストが必要なので、危険度の高い部分から選択的に取り入れていくべきだと提言した。またファーマーズマーケットなど生産過程の追跡が容易な流通から進めていくべきだとした。
 残留農薬については、地域ごとの農薬散布基準などを設定し、公表することと、海外情報の収集も進めるべきだと提起した。
 地域農業が変わっていくためには、営農指導員の意識の転換が必要であるとも指摘した。
 JAグループ経済事業の構造問題では、中間的な位置づけが強く、消費者の方向を見る視点や、生産現場主義が欠けており、両者を隔てるような体質となっていると批判し、事業構造や組織のあり方を抜本的に見直すことを求めた。
 しかし、これら体質問題については秋に委員会を再開して、さらに掘り下げた議論をし、最終とりまとめをする。

 「JAの意識改革が必要」
  ――小島経済事業刷新委員会座長が強調

 経済刷新委の小島正興座長(国民経済研究協会監事)は中間まとめの後、会見で「委員会では大変率直な意見が活発に出て、座長としてやりやすかった」と次のように語った。

 この20年間に経済環境は大きく変化し、消費者の安全・安心への意識も変わり、小売形態も地域流通から広域流通へと変わった。全農はこれらに対応できなかった。消費者意識との間にへだたりがある。ここに問題点があるとして議論をし、それをまとめた。
 「全農安心システム」の普及が進まなかったのは農協にも問題がある。これからは自分たちの問題として安心システムに取り組んでいく意識改革が課題だ。
 食品表示制度は非常に煩雑で消費者には対応できない。だがJAグループは、その点についてお上の批判をしなかった。そして問題を起こした。今後はこれをチャンスとして改革に生かしてほしい。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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