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農政・農協ニュース

農家経営賃貸住宅のブランド化戦略など
全中が資産管理事業で新指針 (7/11)

 地価も家賃も下がり、農家の賃貸住宅に空室が増え、遊休農地が急増しているといった問題に対応してJA全中は7月11日「21世紀のJAまちづくり・資産管理事業の指針」を発表。需要の変化に合わせた新たな事業手法とJAの取り組み体制を提言した。
 その中には、JAが「資産管理センター」と呼ぶ営業拠点の名称を改める提起もある。これは農家向けの名称で、住宅や宅地を求める客には意味不明。このため例えば「土地と住まいのJA相談センター」とか「農のある暮らしのセンター」など窓口にふさわしい愛称が必要であるとした。
 また商業施設や事業用定期借地を求めている企業ユーザーの会員化など需要者を囲い込む方策や、センターの店づくりなどサービス技術面改善の提言も多い。農家経営の賃貸住宅は全国に約33万戸(公的資金融資分だけ)。農家経営とかJA管理というイメージは需要者の安心や信頼につながる。その性格のアピールで物件のブランド化を図っていく戦略も挙げた。
JAグループは30余年前に「農住都市構想」を提唱した。しかしバブル崩壊後は宅地の需要減で農地の転用売却が難しくなり、遊休農地は今後ますます増えてくるとした。
 このためJAの資産管理事業は宅地化だけでなく、農業的利用による管理の方策の検討も迫られているとし、宅地化対象と、保全する農地を区分して総合的に対応する必要性を挙げた。
 JAの支援で農家が協同して進めた土地区画整理事業については保留地の売れ残りが続出しており、早急に抜本的解決の話し合いが必要とした。保留地が売れないと区画整理組合に対するJAの融資が不良債権化する恐れもある。
 販売戦略としては魅力的な住環境づくりが欠かせないと指摘。また建売分譲宅地を求めるハウスメーカーへの販売委託も挙げた。
 農家の賃貸住宅経営では入居者ニーズの変化に合わせたリフォーム投資を怠ってきた古い物件に空室が多い。市場調査をもとに個別物件ごとに再チェックをする必要があるとした。
 一方、農家側では定期借地などリスクの少ない方策への関心が高まっている。 指針は総論として今後は住宅・宅地の量的な供給よりも、住環境と生活をさらに豊かなものにする努力が必要とし、面整備(区画整理)の段階から農家と需要者が協同してまちづくりを進める方式(コーポラティブ方式)が望ましいという。 農住都市構想は「農と住の調和したまちづくり」を掲げたが、実際には具体的に「調和」が見える団地や住宅は少ない。今後は農園つき賃貸住宅や田園住宅団地などで調和を実現していこうと訴え、高齢者向け賃貸住宅の供給など各事業を新しく立ち上げるための指針を示した。
 なお同指針は略号(社)地域社会計画センターと全中がまとめた。


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