食肉業界最大手の日本ハム(株)の大社啓二社長は、8月7日午後、農水省の須賀田生産局長を訪ね、BSE対策事業で国産在庫牛肉の買い上げを申請していた牛肉に輸入肉が混入していたこと、さらに7月末に判明した焼却処分分にその輸入肉が含まれていたことを正式に認め、謝罪した。
また、社長と顧問弁護士などで調査チームをつくり同社が買い上げ申請した牛肉について調査し8月末までに報告すると約束した。 一方、農水省は同日、武部大臣が徹底した調査を指示しており、詐欺罪など刑事告発も視野に入れて調査に着手することを明らかにした。
日ハムは、いったん国と買い上げ契約した牛肉のうち1・3トンを買い戻しすでに焼却してしまったことが明らかになっている。
このうち日本フード(株)の姫路営業所からの520kgが輸入肉だった。
同省は8日に職員を派遣しまず姫路営業所から事情を聞く。一方、残りの焼却分、約800kgについては偽装が行われていたのかどうかなど日ハムが伝票チェックなどで優先的に調査すると農水省に約束している。
いったん買い上げ契約をして買い戻した牛肉は合計7・8トンで、日ハムを含めて9社ある。日ハムが焼却した1・3トン以外の6・5トンは全国17倉庫に点在しており、農水省はこれらについても偽装の有無などを調査するため、現品確認と移動、開封制限を行うことを決めた。
今回の問題は内部告発で明らかになった。
農水省によると焼却問題が明るみになった翌日の今月1日、近畿農政局畜産課に内部関係者から連絡があるとともに偽装を推定できるような資料がファックスで送られてきたという。 そのため、農水省は本人から話を聞いたところ「つめかえの現場を見た。外国産を示すコード番号が国産のコード番号にされていた」などの証言を得た。
しかし、資料と証言からは偽装の事実は証明できなかったため、6日夕、日本フード姫路営業所に対して、内部告発があったことは知らせず、すでに明らかになっていた焼却問題の件で現地調査をしたいとの意向を伝えたところ、同日夜、大社社長が緊急に記者会見するとの連絡を受けたという。
日ハムが、検査前に牛肉を買戻し焼却した問題は、偽装の事実を隠すためだったのではないかとの疑いが持たれている。