JACOM ---農業協同組合新聞/トップページへジャンプします

農政・農協ニュース

組合員の結集力強化へ魅力ある事業展開を
家の光協会 教育文化フォーラム開催 (8/1)

 結集力の弱まった広域JAの組織基盤を固める決め手は、教育文化活動にあるとして(社)家の光協会は、その活性化を議論するJAトップ・フォーラムを1、2両日、東京都内で開き、結集力強化のために▽JAの事業と活動を魅力あるものにする▽参加・参画度を高める▽学習を活性化するという要点を確認した。

JAトップ・フォーラム

 全体討議のパネリスト発言ではJA新潟中央会の柳澤武治副会長が「教育文化活動を理解しないトップリーダーに経営を預けてはいけない」と訴え、またJA北信州みゆき(長野県)の石田正人組合長は「リーダーはボスと違う。権力を持つのではなく、責任を持って課題を提起し、旗を振って新風を起こさなければならない」と強調した。
 まとめでは京都大学の藤谷築次名誉教授が「JAの弱点はトップマネジメント機能の弱さであるといわれ、トップ批判がタブーとされてきたが、権力志向型のヘッドシップはダメ。人格力と説得力によるリーダーシップが求められる」とした。
 また結集力強化には「JAならではの事業活動は何かを徹底的に追求していくことが大事」と指摘した。
 フォーラムは『21世紀に勝ち残るJAづくりと経営ビジョン』がテーマ。副題は『協同組合らしさの発揮とJA教育文化活動』。これまでに『家の光文化賞』を受けたJAの組合長ら約150人が出席した。

 ◆10年後にJAはあるのか?

 第1日はJA実践報告で石田組合長が、地域で話題になるような農協らしい魅力ある事業に多面的に挑戦している状況を語った。
 その中では、JAが農地をすべて集約した地区もあり、耕作放棄地が出ないようにしている取り組みが注目をひいた。
 また柳澤副会長(JAえちご上越会長)は「10年後にJAはあるのか?」といった危機的状況を指摘。 えちご上越では高齢者層が組合出資金総額の約53%を持っていて、後継者難や減反強化などから経営維持を諦めてJAを脱退し、払い戻し出資金を老後の生活費に充てようとする傾向があると報告。こうした状況への対応を急務とした。 そして「地域協同組合」としての運動方向を明確に示し、同JAの体制整備や計画策定状況を語った。
 このあと日産自動車(株)グローバル広報・IR部の島田京子部長とJA全中地域振興部の桜井勇部長から提言があった。

 ◆協同組合原則をよく学んでほしい

 二日目の全体討議では、組合員の結集力とJAの求心力を高める教育文化活動の中で果たす家の光事業の役割の重要性などを確認。家の光協会の山本昌之専務は3誌の普及だけでなく「その中身の活用と普及もお願いしたい」と訴えた。  また東京農業大学の白石正彦教授は「協同組合運動には失敗も後退もある。それは原則に基づかない場合だ。1995年の協同組合原則をよく読んでほしい」とし、組織管理論の構築を改めて強調した。
 まとめでは藤谷名誉教授が「新しいJAづくりの基本は組合員教育だが、それが軽視されてきた」と指摘。「今の運動路線の混迷は農水省追随型でもあるからだ」と苦言を呈し「 国の都合でつくられた農業団体的な体質からの大転換を図るべきだ」とした。
 さらにJAえちご上越の「地域協同組合」としての方向づけを支持した。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
webmaster@jacom.or.jp