全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)と共栄火災海上保険相互会社(共栄火災)は、8月22日に、両者の総代会の承認と農水省・金融庁など関係当局の認可を前提に、15年4月の共栄火災の株式会社化に際して、JA共済連が共栄火災の株式の過半数を習得することで子会社化するとの基本方向で合意したことを発表した。
共栄火災は、株式会社へ組織変更のうえ、株式交換して、東京海上、日動火災が持ち株会社として今年4月にスタートさせた(株)ミレアホールディングスの完全子会社として経営統合する予定で、JA共済連に出資要請を行った。これを受けたJA共済連は、多様化する保障ニーズに迅速に対応できる業務体制が求められる短期共済で一体的な運営を強化することが事業戦略上必要であるとの判断から共栄火災の子会社化を提案。共栄火災も「そのことで名実ともに、協同組合・協同組織を基盤とする保険会社の特色をよりいっそう強化できる」「世界最大級の共済団体であるJA共済連グループの一員となることで共栄火災の展望が一段と大きく広がり契約者の期待に応えることができる」(小澤渉共栄火災社長)と考え、今回の合意に至った。今回の合意で共栄火災は、ミレアグループから完全に離脱する。
共栄火災は、昭和17年に当時の産業組合によって設立され、産業組合の「共存同栄」を経営理念として、協同組合・協同組織を基盤とした保険会社として60年の歴史をもっている。JA共済連とは協同組合によって設立されたこともあり、歴史的に協力関係をもってきた「同根同理念の企業文化をもつ」(新井昌一JA共済連経営管理委員会長)会社。
記者会見で新井J会長は、「JA共済グループとして一体となって、時代環境に適応したよりよい仕組みを低価格で提供するとともに、事業経営の健全性強化により、組合員・利用者や地域の皆様の負託に応えることができると確信」をしていると語った。
また小澤社長も「JA共済連との一体的な運営によって、両者が長年培ってきたノウハウや知識、経験を結集することになり、そのことによって、より高い水準のサービスを提供することが可能」だと確信していると語った。
今後は来年4月の共栄火災の株式会社化に向けて、前田千尋JA共済連理事長と小澤社長を共同委員長とする「JA共済連・共栄火災協議会」を設置し、協議会の下部組織として、資本政策、子会社化にかかわる諸手続き、顧客への対応など子会社化に関する諸事項を検討する「子会社化検討委員会」と、仕組・商品開発、普及推進・販売体制、損害調査、各種サービス、システム投資など短期共済事業の一体的運営について検討する「事業スキーム検討委員会」を設置し、具体化をはかっていく。
今回の合意が実現すると、JA共済連グループの自動車・自賠責・火災共済など短期共済事業は、元受共済掛金(元受正味保険料、一般企業の売上に相当)が6382億円(13年度)となり、損保業界第6位の規模となる。