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農政・農協ニュース

輸入した無登録農薬の販売先広がる
農水省が水際対策で取締法改正へ(8/28)

  無登録農薬を販売していた山形県の2業者と、仕入先の農薬輸入会社西日本物産(東京)社長計3人が農薬取締法違反などの容疑で逮捕されたことから、農水省は8月13日以後、全国的に業者や農家への立ち入り検査を30都府県とともに実施。27日までに25都県で1000戸余りの農家に販売されていたことがわかった。西日本物産から仕入れて販売した業者数は60社以上とみられるが、購入した農家数とともに今後の調査でさらに増えるものとみられる。
 農薬取締法違反および毒物劇物取締法違反で逮捕者が出たが、無登録農薬の販売実態がこれほど明らかになったのは珍しい。農水省は、この農薬を使った野菜や果物の出荷自粛をJAなどに求めている。
 問題の農薬は3種類で、うち殺菌剤のダイホルタン(カプタホール)は動物実験で発ガン性が認められた。また殺虫剤(ダニ剤)のプリクトラン(シヘキサチン)は催奇形性については無毒性量が評価できなかった。この両剤は食品衛生法で検出されてはいけないものに指定されている。もう一つは植物成長調整剤のナフサク(―ナフタリン酢酸ナトリウム)で、いずれも昭和51年から平成元年末までの間に登録失効となっている。 西日本物産などは、これを東南アジアルートで並行輸入していたとされ、農水省は、国内の売れ残り在庫を販売した可能性はないとし、同社だけでなく複数の業者がすべて海外から持ち込んだとの判断だ。
 もちろん、この農薬の包装には登録番号も商品名なども記載されていないためこれを使用した農家が「無登録とは知らなかった」と弁明しても「それは通らないだろう」(同省農薬対策室)という。
 農薬取締法違反は販売の制限・禁止に加え、罰則は1年以下の懲役または5万円以下の罰金だが、山形県の2業者は毒物及び劇物取締法違反にも問われた。これの罰則はもっと重く、3年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または併科となっている。
 一方、現行の農薬取締法では違反農薬の輸入を水際で規制する制度が弱いため、同省は輸入禁止と使用禁止を厳格化する見直しの検討に入った。
 その範囲は無登録農薬、登録失効農薬、並行輸入農薬、それに非農耕地(ゴルフ場など)用農薬の農耕地への転用などにおよびそうだ。とりわけ使用者つまり農家の責任が焦点になるものとみられる。
 改正法案の国会提出時期は、食の安全に関わる他の法案とともに来年の通常国会になりそうだ。
  無登録農薬が使われる背景としては▽効き目がよい▽使いやすい▽価格が少し安いことなどがある。
 今回の立ち入り検査結果によると、使用はリンゴ、ナシ、モモ、サクランボ、イチゴ、カキ、スイカ、メロン、花などに多く、ゴルフ場や植木もある。
 また並行輸入業者の販売先業者の中には▽その県内の農家には売らないで他県に販売した▽業者間で転売した▽仕入れたけれど、まだ販売していないなどのケースがあり、一方、農家でも▽買ったけれども使っていないところがあって現調査段階では業者数も使用農家数もまとまっていない。 
 一方、この販売に関わったJAがあるため同省は、指導的立場にある組織の責任を問い、厳正に対処するとしている。

 


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