「順送りで農協の非常勤理事になり、任期を無難に過ごせばよしとする人が多いのではないか」「農協運動のことなどわからない理事が選出されている」「地域農業の振興を真剣に考える理事がいるのか」「理事にどれほどの責任感があるのだろうか」など27日開いたJA全中の第3回JA改革推進会議では、JA理事への手厳しい疑問が各委員から出て「新任理事の研修会を実施する必要がある」との提案があった。
また「よくない理事を選ぶ組合員も悪い」「組合員の意識をどう変えるか。組合員が必要とする人材をどう育てるか」などの議論もあり、教育の課題が一つの焦点になった。
「常勤の役職員も川下や川上の勉強が不足で、川中に安住している」との指摘があり、法人委員は「スペシャリストの職員を養成してほしい」と求めた。
収入1000万円程度の農家を相手にしているJA職員は1億円以上の法人の資金繰りがよくわからないし、かといって税理士や公認会計士に頼んでも農業の実情が理解できない面が多いから、農業に理解のある法人監査などのスペシャリストをJAグループで養成してほしいとのことだ。
このほか▽集落営農のあるべき姿を早く打ち出さないと所得政策の具体的検討に入れない▽地域のコメ販売戦略が全農との関係で立てにくい▽生産資材価格引き下げがまだはっきり目に見えない▽共栄火災(株)の子会社化とともに短期共済はすべて同社に任せてはどうか、などの意見も出た。
今村奈良臣議長(東大名誉教授)は▽経営管理のスペシャリスト育成は重要▽人材をどう生かすかがトップリーダーの基本的役割だ▽資材だけでなく農産物を出荷する各JAの輸送コストも大きい。帰途は空車だが、合理化の検討が必要だなどの課題をまとめた。