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農政・農協ニュース

農業者に信頼され愛される農協に
大島新大臣が就任 (9/30)

登庁する大島新大臣
登庁する大島新大臣
 内閣改造で農相に就任した大島理森氏は、9月30日夜の初登庁後、就任記者会見の臨んだ。
 今後の農政について「食と農の再生プランの堅実な進展」と武部前大臣の改革路線を継承するとしながらも、構造政策では「ある一点だけに焦点を合わせると逆に日本の農業構造は弱くなる気がしている。法人化もひとつの考え方だが、これでなければならないと決めつけないほうがいい」と語るなど個別の政策では柔軟な対応姿勢も示した。また、コメ改革では消費者の視点で改革を強調するとともに「米づくりが多面的に果たしてきた機能はいくら改革といっても無視するわけにはいかない」とし、農協改革では「改革はひとりよがりでできるものではない。多くの方々の理解とともに、説明をしてともに改革していかなければならない」などと語った。おもな発言は以下のとおり。

(就任にあたって)
 「日本人のみならず人間の生きる基本は食べること。どの国においてもその国の文化、伝統は一次産業から継承されてきた側面と、国際社会のなかで農林水産業も対応していかなければならない。加えて食の安全、安心が厳しく問われている。一次産業の持つ国家としてもっとも基本的な問題をおさえ21世紀の農水政策の前進に全力を尽くしたい」

(コメ改革)
 「食料として守らなければならない基本はあるにしても、需給のアンバランスを冷静に考えながら生産者も誇りをもって作り、消費者も喜んで買うという経済的原理の一面を否定するわけにはいかない。それをふまえつつも、水田、あるいは米づくりが多面的に果たしてきた機能もいくら改革といっても無視するわけにはいかない。改革は関係者の理解を得ながら進めなければならない」

(農協改革)
 「農業者に信頼され愛される農協になってもらう必要がある。農協は農村のコアでもある。今まで培ってきたコアという能力を展開してもらえるようにできるのではないか。農協のための農協ではだめ。そこに住む農業者が参画し、農協が農業者のために発展的に活動できる視点から考えていきたい。(基本は)今までの改革の路線をしっかりふむことだが、改革はひとりよがりでできるものではない。多くの方々の理解とともに説明してともに改革していかなければならない」

(株式会社参入問題)
 「どういう利点とどういう問題があるのか、もう一度しっかり踏まえたい。そういう視点で関係団体とよく話し合わなければならない」

(農業の構造改革)
 「農業者といっても一口に言えない時代になったのではないか。ある一点だけ焦点を合わせて農業政策をやっていくと日本の農業構造は逆に弱くなる気がしている。市場性も大事にしながら、農で生きていく人たちに包括的にどのようにがんばってもらえるか(の政策)を一方に持たないと非常に柔軟性に欠けた農業構造が生まれる気がする。法人化もひとつの考え方だが、これでなければならないと決めつけないほうがいい。さまざまな形態があっていい」

(WTO農業交渉)
 「それぞれの国のオリジナリティーが一次産業から生まれたことを考えるなら、(農業の)多面的機能を愚直に訴え理解を求めることが基本。多くの国民の理解も必要だ」

(食料政策)
 「自給率目標は大前提。世界の食料動向を考えたとき日本の自給率がこのままでいいと思っていない。自給率の向上は大事にしていきたい。しかし、国民の食に対する要求を考えたとき、100%自給できるとは(基本法などにも)書いてない。国民にきっちりと食料を供給する体制を絶えず考えていかなければならないのが(政治、農水省の)役割だとすれば、輸入大国となった日本が、一方で一次産業の外交のストラテジーを持たなくてはいけないと思っている」

(おおしま・ただもり)昭和21年生まれ。56歳。慶大卒。衆議院議員青森3区選出。当選6回。環境庁長官、文部大臣兼科学技術庁長官を歴任。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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