「食と農の再生プラン」に基づく農業の構造改革を進めるには、農協の営農・経済事業の改革方向検討を急ぐ必要があるとして農水省は有識者による「農協のあり方についての研究会」を設置。27日の初会合で武部勤農相は「今までの制度、仕組みを換骨奪胎するほどの気持ちで検討していただきたい。行政が農協に任せている代行業務や、農協を経由する補助金などは真に必要なもの以外はあるべき姿に正すべきだ。株式会社参入、独禁法適用除外、農業特区の問題などもタブー視してはいけない。改革の進んでいる農協を高く評価しつつ、総点検をしてほしい」とあいさつした。
また株式会社導入のイメージを松下久委員(静岡・JAとぴあ浜松組合長)に聞かれて「農協が補助事業で施設をつくり、経営は株式会社に任せるのも一つの方法だ。北海道ではAコープ店舗をスーパーに預けた農協もある。農協がすべての事業をやるのでなく、事業ごとに分社化してはどうか」との見解を示した。
各委員からは▽JAはどんな山村にもあり、郵便局にも似たような社会的インフラとしての存在を否定できない。また協同組合でもあるという根本を押さえた議論が必要だ▽農協の職員数が多いというが、農山村の安定した就業の場となっている。これがなくなった場合の対策をどうするか▽医薬品市場は巨大だが、食料の医薬品的価値はますます高まっている。農畜産物に付加価値をつける経済事業に着目すべきだ▽農協のマージンは17.7%でスーパーの23%よりぐんと低い。経営上の基本的な問題を検討すべきだ―などの意見が出た。
今村奈良臣座長(東大名誉教授)は「1040の農協を分類すると上位約200は良い。600を中位とすると、あと200の良くない農協が目立っている。しかし農協は人的結合が原則であり、企業のようにはつぶれない。地域資源との結合もある。今後の研究会では上位と下位の実態をしっかりみていきたい」と述べた。第2回目は10月21日に開く。