全国で184業者が254の営業所を通じて無登録農薬を販売していたことが23日、農水省のまとめでわかった。この中には20JAが含まれる。販売していた営業所数にするとJAの場合は50店(支所・支店など)にのぼる。これまでの確認は4JAにとどまっていたが今回、各都道府県の総点検で無登録農薬販売が農協界にも広がっていたことが明らかになった。
業者からを含めて購入した農家は合計3014。
農薬の種類では土壌殺菌剤のPCNBが352・6トンと最も多く、次いで除草剤のPCP。ほかに殺菌剤のミクロブタニル、植物成長調整剤のジベレリン、殺菌剤のダイホルタンなど合計10種類。
うちJAの場合は8種類を売っていた。これらの数字は過去3年以内に限定して無登録農薬販売を確認した結果による。
農薬取締法にもとづいて農水省は業者やJAから事情聴取をし、営業停止の行政処分などを早急に行うとしている。
都道府県の点検対象は約7万営業所だったが、移転や廃業などのため実際には約5万7000について立ち入り検査などをした。営業所の所在が確認できなかったり、回答のないものがあるため都道府県では、なお点検を実施中だ。
今回のまとめで無登録農薬の販売数量が最も多かったのは茨城でPCNBをはじめ種類は全部で4。また少量ずつだが、種類の多かったのは熊本で計8。しかし、これは業者間の販売を含めた延べ数であり、農家が購入した種類・数量とは異なる。
なお販売されたのはすべてが輸入品だ。
不使用証明書提出など
JAグループが陳謝と対策を発表
JAグループが設置している「食の安全・安心確保緊急対策本部」は23日、自主点検の結果、20JAが無登録農薬を販売していたことがわかったとし「消費者・国民、流通業者にご迷惑をかけ、食の信頼をそこなったことについて深く反省し、おわびします」とのコメントを発表した。
自主点検は平成11年7月から今年9月まで過去3年間に無登録農薬を販売したかどうかを全国1044JAと全農、経済連、専門連合会で実施。
その結果、ダイホルタン、プリクトラン、PCNB、ナフサク、ミクロブタニル(ラリー)、ジベレリン、アバメクチン(アビット)、ダミノジッド(ビーナイン)の8種類を20JAが販売していたとわかった。
JAグループは9月上旬から都道府県ごとに「食の安全・安心確保緊急対策本部」を設置(10月22日現在44)。農家の無登録農薬使用が確認された産地では、農産物の出荷停止などをしている。
この日のおわびは「農薬の適正使用をすべきJAが一部で無登録農薬を販売していたことは誠に遺憾である」とし「今後、このようなことがないようJAの社会的責任の重さを踏まえ、次ぎの対策に取り組む」と7項目を挙げた。
(1)無登録農薬の不使用証明書を農家に出させる。産地で残留農薬検査をする。
(2)農家とJAで無登録農薬の在庫を確認し、適正処分を徹底する。
(3)無登録農薬の販売に関わったJAに業務改善と内部管理体制の強化など特別指導をする。
(4)法令順守を含め、安全安心な農産物づくりに向けた自主行動基準を作成し、指導を徹底する。
(5)安全防除運動や農薬の講習会・研修会を引き続き実施。またJAグループを挙げて「生産工程管理・記帳運動」に取り組む。
(6)無登録農薬が流通しないための法制度整備を求め要請活動を展開する。
(7)無登録農薬問題で重大な影響を受けている産地では経営・資金相談窓口の設置などJAの指導体制を強化する。