◆生命共済が確実に増加
JA共済連(新井昌一会長)は、先ごろ、今年度上半期(4〜9月)の推進実績(速報)と共済金支払概況を発表した。
それによると、上半期の長期共済新契約実績は、保障金額で16兆3666億円と前年同月比101.7%。年金共済(年金額)は1182億円で同125.8%。自動車共済の掛金が1636億円で同101.3%。自賠責共済の掛金が375億円で同103.8%、となっており、厳しい環境下にもかかわらず、いずれの分野でも昨年度同期に比べて増加しており、堅調に推移している。
長期共済新契約の内容をみてみると、生命共済が8兆2718億円で前年同月比104.2%と確実に増加しているが、建更共済は8兆504億円で同98.8%と前年をやや下回っており、生命共済の確実な伸展が長期共済の堅調な推移を支えているといえる。
また、今年4月に新規顧客層の獲得をめざして投入された新仕組みの「がん共済」の上半期実績は443億円だが、「数県での実績が全体の4割を占める結果となっており、都道府県間での格差解消が今後の課題」(JA共済連)といえる。
年金共済は125.8%と順調に推移しているが、これは、長期にわたる低金利政策やペイオフ対策などによって、年金共済が金融商品として注目を集めているためではないかと、JA共済連では分析している。また自動車共済、自賠責共済は、ともに例年と同じ堅調な推移をみせている。
◆「しあわせ夢くらぶ」今年度目標を大きくクリア
今年4月に導入した「JA共済しあわせ夢くらぶ」の9月末登録件数は約376万件に達し、今年度目標の330万件をすでにクリアした。この制度の告知と利用拡大キャンペーンをテレビなどマスメディアを活用して展開してきているが、生命共済、自動車共済にその効果があらわれているのではないかとJA共済連ではみている。
◆満期共済金支払が増加、事故共済金は減少
主要共済における上半期共済金支払の合計は、件数は181万件と昨年同期とほぼ同じ(100.9%)だが、支払共済金は1兆3551億円で、前年同月比109.1%と増加している。
これを支払区分別にみると「事故共済金」は長期・短期共済とも減少しているため、前年同月比95.8%となっている。とくに、台風5号・6号・15号による被害は続出したが、昨年度の芸予地震ほどではなかったために、建物共済による支払の大幅な減少(昨年同月比65%)が目立っている。
これに対して「満期共済金」は全体で、昨年同月比115.9%と増加が目立っている。とくに、養老生命共済(昨年同月比120.4%)、建更共済(同110.3%)の満期共済金が増加している。
◆保有純減に歯止をかける満期対策が課題
長期共済の保有契約高は期首より2兆7578億円純減し、384兆7436億円となっている。保有純減の主たる要因についてJA共済連では、満期共済金の増加によるものとみている。満期に達する共済契約が多いということは、JA共済に対する利用者の信頼が篤いということであり喜ばしいことではあるが、それをそのままにしておけば保有契約の減少ということになるわけで、満期対策としてのニーズの喚起が、かねてから指摘されているようにこれからの大きな課題といえる。