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農政.農協ニュース

食料輸出国の理不尽な提案断固拒否を決議
WTO農業交渉全国集会(11/14)

 政府は18日からのWTO農業交渉で「声明」を出すとともにミニマムアクセス(MA)輸入米の削減などで新提案をした。ウルグアイ・ラウンド(UR)で日本はコメの関税化先送りで最低輸入量を加重され、関税化後もそのままとなっているため加重分の廃止を求めた。また野菜などの輸入急増に対する特別セーフガードの強化も提案した。こうした日本提案の実現を支援するためJA全中は14日「WTO農業交渉対策全国代表者集会」を東京・日比谷公会堂で開き、今後さらに運動を強化していくことを決議した。

 

 「多様な農業の共存。これがWTO農業交渉における日本提案の哲学だ。食料輸出国の農業だけが生き残るというのではいけない」と農水省総合食料局の西藤久三局長はJA全中の代表者集会に出席し情勢報告で考え方を述べた。
 現在、農業交渉は各国提案をめぐる一通りの議論が終わり、それぞれの国益をかけた対立の構図をあらわにしている。
 WTO農業特別会合議長は、それらを整理した「概観ペーパー」を12月18日までに示す。その作業に日本提案の趣旨を反映させようと政府は11月の会合で日本の基本的な考え方を声明の形で発表した。

宮田会長
冒頭挨拶するJA全中宮田会長

 交渉は一つの山場を迎えており、来年3月には自由化を約束する基準(モダリティ)を確立するというスケジュールで1月には第一次基準案の検討に入る。
 この局面を重視して全中は約2000人の代表者集会を開いた。舞台正面には「米国・ケアンズ諸国提案の断固拒否」などのスローガンを掲げた。
 集会は、米豪などの「農産物輸出国グループは全ての関税を25%以下に削減することや、輸入数量の大幅な拡大を提案」し、また「貿易以外の関心事項への配慮を無視」しており「到底受け入れられるものではない」との決議を採択。
 そして「MA制度の是正を含む見直しを実現しコメの総合的な国境調整措置を堅持すること」などを政府と国会に強く求めた。
 しかしWTO加盟144ヵ国のうち約100ヵ国は途上国で、その大勢力が先進国に関税の大幅削減を求め、米国・ケアンズ諸国と同様の主張をしている。日本にとって情勢は厳しいと西藤局長は報告した。
 このため全中の宮田勇会長は、国際的に「理解と協力を求める活動がさらに重要」とし国内でも「各層との対話を広げる」取り組みの強化を訴えた。
西藤久三氏
情勢報告する農水省総合食品局長 西藤久三氏
 ところが全国消費者団体連絡会の神田敏子事務局長は連帯のあいさつで「WTO問題には消費者を寄せつけないような空気がある。モダリティとかフェーズなど一部の人にしかわからない言葉が多い。コミュニケーションが不足しているのではないか」と世論形成の上での問題点を指摘した。 また「消費者にとって食料は非常に身近な問題なのに農業交渉の重大性が伝わってこない。生産者だけの問題だという感じもある」とし、もっと近づきやすくしてほしいと要望した。
 この集会に続いてコメ政策対策の集会があり、そこでは自民党農業基本政策小委員会の松岡利勝委員長がウルグアイ・ラウンド(UR)合意の時に米国は日本に例外なき関税化を強要してコメを部分開放させながら、自分は内航海運を例外として残したことを指摘。
 こうした「理不尽、不公平・不公正が今後の交渉で解消されないならば日本もUR合意以前に立ち戻ってMA輸入米を完全撤回すると声明すべきだ。MA数量の削減要求などはなまぬるい。大もとから強気に出るべきだ」とぶち上げた。
神田敏子氏
全国消費者団体連絡会事務局長  神田敏子氏
 米国は国内で建造した米国民所有の船以外は内航を認めないという例外措置を維持しているが、農水省の声明案は、これに触れなかったため松岡委員長ら党側が要求して最終的には、この問題の指摘が入った。
 声明は現行の農業協定について▽輸出国と輸入国の権利義務に大きな不均衡がある▽輸出国は輸出補助金などに対する規律が不十分で、輸出規制については規律がほとんどない▽協定の実施状況も輸出国が輸出を拡充する一方、日本や途上国などは自給率低下に深刻な不安を抱いているとし、公平・公正な貿易秩序の確立を求めている。



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