JACOM ---農業協同組合新聞/トップページへジャンプします

農政.農協ニュース

現場の理解と納得で改革を
米政策改革対策全国代表者集会 (11/14)

 JAグループは11月14日米政策改革対策全国代表者集会を開き、適切な計画生産を基本とした米政策を改革を実現すべきというJAグループの主張の実現を求めた。
 政府は11月末までに16年度からの米政策の見直し策を決定する予定だが、国による生産調整の配分廃止を打ち出すなど計画生産を基本とすべきとするJAグループの考えと大きな隔たりがある。集会では政府の方針を強く批判する声が上がり、将来に誇りをもって取り組める水田農業の確立を求めた。

 

 集会では冒頭、宮田勇JA全中会長が政府案を厳しく批判した。
 生産調整の国による配分廃止や、生産調整の未実施者を安定契約生産者として積極的に位置づけること、さらには過剰米の自己責任による処理などを打ち出している農水省案について「これでは米の需給と価格の安定ではなく、国の役割、責任を後退させ、過剰米に何の手も打たず、米価下落や不公平の拡大など生産現場や流通の大混乱を招くだけ。これまで真剣に取り組んできたわれわれの期待を裏切るものであり到底認めることはできない」と強調し、豊作による過剰米を主食用と区分した処理の仕組みを組み込んだ需給と価格の安定対策、生産調整とリンクしたメリット措置の実施、担い手に対する経営所得安定対策の早期実施などの実現を強く求めた。
西川文人氏
西川文人氏
野口好啓氏
野口好啓氏
三上一正氏
三上一正氏
 また、花元克己水田農業対策本部委員会委員長は、代表要請で、適切な計画生産など「基本的な問題は責任をもって正すべき」と訴え、一方でJAグループ自らも生産調整実施者集団をもとに、地域でさまざまな水田農業のあり方が実現するよう工夫と努力が必要であることも強調し、こうした取り組みに向けて政策確立を図ってほしいと与党国会議員に要請した。
 これを受けて堀之内久男自民党総合農政調査会長
は「農家のみなさんがどうしても理解できないというものを無理してまとめることはしない」と現場の理解と納得を重視することを表明、また、「何も今月いっぱいでやらなければいけないということでない」と11月末の決着にこだわらない姿勢も示した。
 また、松岡利勝自民党農業基本政策小委員会委員長は、基本的な課題は米の過剰の解消にあるとして、計画的な生産調整を基本に、水田農業全体として「農家が夢と希望を持てる形」を確立する政策に向けて努力することを表明、「できもしないことを現場におしつける」といったハードランディングはすべきではないと強調した。
 その後、集会では生産者が決意表明。
 福井県の農事組合法人アバンセ乾側代表の西川文人氏は安心・安全な食料供給を維持するには、集落営農を発展させる必要があることを訴え、そのためには国がしっかりした農政を進めることなしには水田農業は持続できないと強調した。
 佐賀県のJA佐城の野口好啓組合長は、農水省の改革案は国の役割である食料の安定供給を定めた基本法に対して「法律違反をしようとしている」と厳しく批判。また、後継者が不足しているのは稲作が恵まれていないからだと指摘した。さらに多面的機能の重視を訴えたWTO農業交渉の日本提案も、今回の改革案は無視しているのではないかなどと語り、現場が納得できる政策の確立を求めた。
 JA全青協の三上一土地利用型営農部会長は「国の関与を放棄するような案には応じられない。国としての将来ビジョンを描き、きちんとした形になるまでは手助けが必要だ」とし、また、若い担い手が営農していけるように経営所得安定対策の確立が必要だと訴えた。



農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
webmaster@jacom.or.jp