12月3日に政府、大綱決定へ
自民党は11月29日朝の農業基本政策小委員会で「新たな米政策改革大綱骨子」を決めた。
同骨子では、国の関与について、国民食糧の確保は国の基本的責任であるとして「国の関与は必要」としている。
そのうえで、今後の方向は、農業団体の主体的、自主的な取り組みの強化をめざし、「国の関わりの程度については経過を見極めながら判断」するとした。
また、移行期間については5年と明示。ただ、3年を経過した時点で状況を検証し判断する、としているほか、この期間の後に国による生産調整の配分廃止に移行するとは明記していない。
過剰米対策については、「原則としてなし」と措置しない方向を打ち出した。その理由に、稲作経営安定対策などの制度があるために過剰米を生むことになっている、と指摘している。
政府の生産調整研究会では具体策について意見の相違はあるにしろ、過剰米対策の必要性では一致しており、研究会議論とは大きく食い違う大綱案となった。
その一方、自民案は重点作物の本作化のためのメリット措置について「思い切った重点化集中化」をすることで自給率向上のための構造改革を推進するとしている。
このほか、改革の前提条件として△他産業並みの経営所得安定対策の確立、△在庫圧力が市場に及ばないよう移行前に備蓄米を棚上げ措置、△飼料用米の本作化の確立、△小規模農家も包含できる政策、△生産調整配分は公平、公正、地域特性をふまえること、などを盛り込んでいる。
大綱骨子決定後、委員会で発言を求められた石原食糧庁長官は「大臣に報告し農水省として検討する。生産調整研究会にも報告する」と述べ、12月3日に政府として大綱をとりまとめたいとした。
また、JA全中の宮田会長は「身の引き締まる思い。われわれの責任は思い」などと語った。
基本は「時期を明示した国の配分廃止」
−−大島農相 会見で強調
自民党が米改革大綱骨子を決めた29日、大島農相は会見で同骨子について「なお、詳細に整理し分析したい」としながらも、「いわゆる移行という問題について、党内でもさまざまな議論があったが、移行期5年ということを党としてまとめたのは評価したい」と述べた。
そして、移行後の姿について、生産調整の国による配分を廃止した姿か、と問われた農相は「そういうことですね」と肯定、今後の政府案づくりにおいても「この基本を変更することはない」と述べた。
また、自民案が3年経過した時点で移行期間を判断する、としている点について「いろいろな対策など検証しなければならないことはあるでしょうが、それによって5年が伸びるとは考えていない。5年が6年になる、7年になるなどあってはならんこと」と強調した。
過剰米対策については、研究会で議論をし農水省と全中でワーキングチームを検討してきたことを上げ、「現実に政策を考えたとき(過剰米について)何ら手を打たなくてもいいとは思っていない」とし、政府としては過剰米対策を導入する方向で大綱をまとめる意向を示した。
政府は29日に最終的にとりまとめられる生産調整研究会の「水田農業政策・米政策再構築の基本方向」も受けて、大綱案をつくり12月3日に決定する方針。