11月22日に開かれた第3回農協のあり方についての研究会で、JAグループは独占禁止法の適用除外問題について経済事業の現状を説明しながら、JAグループの考え方を表明。そのなかで農業者・農協は全農の補完機能を活用して事業を展開していることから、連合会を含めた独占禁止法の適用除外は維持すべきだと主張した。
JAの補完機能果たす連合会
独占禁止法の適用除外問題について、10月の第2回研究会で公正取引委員会は、ほとんどの協同組合の行為は競争を実質的に阻害することにならず、適用除外規定がなくても独禁法違反にならない、と説明した。 ただし、連合会についての適用除外は、新規参入の制限や公正競争の阻害といった点で共同販売、購買事業などが問題となり得るとの見方を示した。
そのうえで、農協については、新規参入が制限され農業に従事するものの加入率が高く、かつ、系統利用率が高い場合には、「依然として問題が残されている」と説明した。
こうした見解に対し、JAグループは研究会で経済事業の現状を説明した。
販売事業では、たとえば、米は、農家が生産したもののうちJAへの出荷は48・7%、県連の取り扱いは45・2%となっている。さらに全農では代金決済などの取り扱いも含めると45・2%となるが、直接販売、すなわち米販売での全農のシェアは5・6%にすぎない。また、米、麦、生乳などは食糧法などの根拠法や行政指導によって集荷・販売されているものだ。
野菜はJAへの出荷は58・4%を占めるが、県連の取り扱いは42・1%、全農の取り扱いは代金決済などによる取り扱いを含めても14・3%で、直接販売は5・0%にとどまっている。
その他の品目も、代金決済等を含めれば高い数値になるものがあるが、全農の直接販売としては5%〜20%程度となっている。
こうした数字から、系統利用率が見かけ上高い品目があっても、全農の直販比率は低いことを説明した。(数字はいずれも12年度)
競争激化が現状
また、米も青果物も共同販売しているが、これはロット化による販売力の強化や価格精算事務の効率化のために行っていることや、農家個々の共同販売への加入脱退は自由であることなどを研究会では説明した。
こうした共同販売事業の実態は、たとえば、米では農協が対象としている農家数は98万戸だが、一般業者が集荷している農家数は133万戸と上回っている。(13年6月)果実・野菜なども一般業者が集荷したり、また、JAによる産直など市場外流通も拡大している。
こうした実態やさらに共同販売でも産地単位での出荷による産地間競争があり、価格形成も「せり」などによる公正な競争が行われていることをJAグループは指摘した。
購買事業では、農家が農協に予約発注してそれを積み上げているが、この予約のねらいをJAグループは「引き取りが需要期に集中することなくメーカーの年間平均操業の確保による安定供給と有利条件の確保」だとしている。
実態としては、肥料の全農シェアは70%、農薬35%、農機23%(いずれも平成11年)となっている。
そして、これらの品目の共同購買事業について、品目ごとの農家、JAの購入先の選択は自由に行われていることから新規参入を妨げてはいないこと、商系の取り扱い業者の比率は肥料農薬で61%、農機で83%となっていることから公正で自由、さらにし烈な競争が行われていることなどを主張した。
また、系統利用率の問題では、肥料のように大量輸送が伴い、使用が一時期に集中するものはシェアが高いが、園芸農薬のように付加価値の高い品目ではシェアが低いことも指摘した。
流通合理化と安定供給
こうした経済事業の現状を説明したうえで、研究会では全農の共同販売事業は、価格の安定などと再生産確保できる農産物価格の実現を目的としており、農協単独では実現が難しい流通の合理化や消費者ニーズに対応した安定供給の役割も果たしていると主張した。
一方、購買事業についても農協単独では困難な競争単位を形成し有利な取引条件の確保をめざすものと説明。販売、購買事業ともに農業者、農協の受任者、代理の役割として「農協の補完機能」を果たしていると説明、「連合会を含めた独禁法の適用除外は維持すべきである」と主張した。