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農政.農協ニュース

来年2月に東京でミニ閣僚会議
−−WTO交渉 農業が中心課題に (12/03)

 WTO交渉は、来年に2月東京でミニ閣僚会議を開催して交渉の進展を図ることになった。
 農業交渉は、11月18日からの農業委員会特別会合で各国からの新たな提案について議論、年内の論議は終了し、ハービンソン議長が12月18日までにこれまでの議論を整理した「概観ペーパー」を出すことになっている。
 その後、来年1月の農業委員会特別会合で各国に共通の関税引き下げなどのルールであるモダリティづくりに向けてさらに議論し、2月中旬のミニ閣僚会議を経て、WTO事務局がモダリティの第1次案を示す見通しになっている。その後の交渉で3月末までにモダリティを確立する予定だ。
 2月中旬に東京で開催されるミニ閣僚会議には20数か国が参加する予定。農業問題が中心に話し合われる予定で、日本は議長国としてリーダーシップを発揮するとともに、公平・公正な貿易秩序が確立される必要性など、わが国の考えを改めて各国に伝える場にする方針。日本の提案が交渉結果にどう反映されるか、大きなヤマ場となる会議となる。

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 11月18日から開かれたWTO農業委員会特別会合では、日本はモダリティに関する基本的な考え方を主張した。
 そのなかで今回の交渉では、輸出国と輸入国の権利・義務の不均衡の是正と非貿易的関心事項(農業の多面的機能など)や途上国の適切な位置づけを確保すべきだと主張し、ミニマムアクセス制度を含む市場アクセス(国境措置)の見直し、農政改革の継続を可能とする国内支持、輸出規制・輸出税を含む輸出規律の見直しなど内容とするモダリティを確立すべきことを訴えた。
 これに対して農業の多面的機能を重視した貿易ルールの確立に賛同しているEUなどフレンズ国からは支持する発言があったが、米国やケアンズ・グループからは「日本の提案は野心に欠ける。ミニマム・アクセス制度見直しは改革に逆行する」、「日本の提案はウルグアイ・ラウンド・マイナス」など批判的な意見が出た。
 ただ、批判のなかには「農業改革の長期的目標(農業協定20条)は過去のもの。その後のドーハ閣僚宣言が新たに実現すべき目標」とか、「非貿易的関心事項は考慮すべき事項であって交渉事項ではない」などこれまでの各国合意に反する主張もあった。
 日本側は、こうした批判に対して、農業協定にはウルグアイ・ラウンド合意実施の経験を踏まえて交渉を行うことが明記されていること、さらに米国やケアンズ・グループが具体的数字を提案していることについて、関税引き下げ方式、特別セーフガードなどルールに関する議論を尽くしていないのは不公平だなどと反論。日本に提案は野心に欠けるとの声に「野心的過ぎる提案はかえって交渉の進展を阻害する」などと切り返した。
 これまでの交渉では、日本、EUなどのグループと大幅な関税引き下げなどを求めている米国、ケアンズ・グループの対立が鮮明になっている。
 具体的には関税引き下げ方式や国内支持削減では、日本などが主張するUR方式と、ケアンズ・グループが主張する大幅削減方式となるスイス・ファーミュラで対立。また、国内支持削減でも同様の構図だ。
 そのほか、ミニマム・アクセス制度の見直し、セーフガード対象品目の拡大、「緑」の要件の緩和という日本の主張も対立している。
 日本としては、日本の提案が現実的でバランスのとれた考え方であるとして11月の交渉では「譲歩すべきは米国とケアンズ・グループ」だと強く主張したという。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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