食糧庁は12月11日、山形県最上町からの要請に基づいて実施した米のカドミウム調査で、14年産米の一部から食品衛生法の基準値1.0ppmを超えるカドミウムが検出されたと発表した。
最上町は、10月に同町上満沢集落を対象に自主的にカドミウム調査を実施した。その結果、一部に基準値を超えた米があったことから、食糧庁の調査を要請したもの。食糧庁の調査では米9点のうち1点から、1.1ppmが検出されたほか、6点から0.4ppm以上1.0ppm未満のカドミウムが検出された。
調査対象となった上満沢集落の米は調査結果が判明するまでJAの倉庫で保管されている。調査結果を受けて、1ppm以上のカドミウムが検出された米1点(4800kg)は、地元自治体が焼却処分する。また、0.4ppm以上1ppm未満が検出された米6点(7560kg)は食糧庁が買い上げ非食用として処理する。
食糧庁が実施しているカドミウム調査は昨年まで調査点数は500だったが、今年は900と大幅に増やしている。過去の調査で0.4ppm以上検出された地点は、重点調査として3年間調査が実施されるが、そのほかに生産者、市町村、JAなどの要請で関係者の了解をもとに行う要請調査があるが、今年はこの要請調査件数が増えているという。
最上町の場合も対象集落に昭和30年代まで銅山があったことから、「一度しっかり調査すべきと判断」(町役場)、自主的検査を行った。JA最上町は「これまで町が行ってきた対象となった集落の農業用水検査では国の基準値の10分の1だったため、ごく一部の米とはいえこの結果には驚いている」としながらも、自主的検査を町が行ったことは「トレーサビリティが求められる時代に沿うもの」として、行政とともに生産者への補償も含めて今後の対策を練る方針だ。
基準値を超えるカドミウムが検出された場合、土壌汚染防止法に基づいて都道府県知事が地域指定し客土などによる土壌改良を行う場合があるほか、土壌改良材の散布、水管理の徹底によってもカドミウムの吸着を抑えることができるという。
昨年、基準値を超えるカドミウムが検出された宮城県迫町では、14年産対策として土壌改良材の散布と収穫直前まで水を張るという管理によって、今年の検査では0.4ppmを超えるものは検出されていない。有効な対策があるだけに産地には冷静な対応が求められるといえそうだ。