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農政.農協ニュース

イネゲノムの解読終了
主要穀物で初めての成果
食料問題解決など今後の研究に期待 (12/18)

 12月18日、政府はイネゲノムの重要部分についての遺伝子解読作業が終了したと世界に向けて発表した。
 イネゲノムの塩基配列を解読したのは日本がリーダーとなり、米国、中国、台湾、フランスなど計10か国から構成された国際コンソーシアム。平成3年、「日本晴」の遺伝子地図を解読する作業から始まってこのほどほぼ全塩基配列を解読した。
 イネは世界の穀物生産の3割を占める需要な作物。ただ、ゲノムサイズはトウモロコシの5分の1、小麦の40分の1と穀類最小のサイズで、3大穀物のなかでもっとも遺伝子解析が短期間で可能と考えられていた。
 今回の研究のもっとも大きな特徴は、ある遺伝子がどの染色体のどの位置にあるか、その対応関係も合わせて明らかにしたこと。
 これまで出穂期に関わる遺伝子(Hd1、Hd6など)や穂発芽耐性に関わる遺伝子(ABA1など)の遺伝子など36ほどの遺伝子が発見されているが、いずれも12本のイネ染色体の何番目の染色体のどの位置に存在するかが特定されている。
 こうした研究成果で期待されるのは、小麦の研究をする際にも、イネゲノム研究の成果をもとに、たとえば穂発芽耐性の遺伝子が存在しそうな染色体の場所をターゲットにして分析、そこに似たような塩基配列が発見できれば研究のスピードアップにつながるなど、他の作物の遺伝子研究も的確、効率的に進められるということにある。
 その点で主要穀物の遺伝子解読ができたことは人類共通の財産を築いたともいえ、日本は全体の6割を解読した。
 研究成果の応用、実用化に向けた研究としては△高品質な米を作る遺伝子、△機能性物質を作る遺伝子、△光合成機能を高める遺伝子、△不良環境に強い遺伝子、△病害虫に強い遺伝子などの発見と機能解析が期待されるが、研究は農業だけではなく他産業にも貢献するものとなる。
 国内農業の競争力の強化、安心、安全の確保などのほか、新たなビジネスチャンスが生れる可能性も大きい。
 18日には、記念式典が行われ小泉首相が世界に向けて解読終了を宣言した。そのなかで、今回の成果は2年前の「ヒトゲノムの解読に並ぶ画期的な成果」とし、「高精度で誰もが利用できる情報は世界の主要穀類の遺伝子機能の解明に急速な進歩をもらすだろう」と述べた。また、国際コンソーシアムにゲノム解析データを提供した「2つの企業にも敬意を表する」と語ったが、この2社とはシンジェンタ社とモンサント社。両社は独自に進めていたイネゲノム解析成果を国際コンソーシアムに提供した経緯がある。
 



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