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農政.農協ニュース

来年度農水予算は2.6%減 (12/25)

 平成15年度農林水産予算は食の安全対策が重点だ。農畜産物の生産履歴を追跡できるトレーサビリティシステムの実施予算は財務省がばっさり切ったが、復活は確実。財務省原案に盛り込まれた新規事項には▽食習慣の乱れを正す「食育」の推進▽食品産業への支援▽BSE対策▽食品表示を検証する技術の確立、などがある。主な事項は次の通り。
 【食育】消費者と子供が食の選び方や組み合わせを考える習慣を身につける国民運動を起こす。運動を展開する団体や地方公共団体に半額補助する。対象となる事業は▽情報発信▽シンポジウムなどの開催▽「食育推進ボランティア」の育成▽学校給食などでの食育推進など。予算は6億8000万円。
 【食品産業支援】地域の特色を生かした生産・販売戦略を立てた産地に施策を重点化。食品開発、鮮度保持と処理加工の施設整備などを支援する。また▽消費者による農水産物の評価活動▽地産地消の活動▽スローフード活動のPRなども支援して環境保全型農業や契約栽培を推進する。これにより「ブランド・ニッポン」食品の供給を広げる。320億円。
 【BSE対策】同対策特別措置法により2歳以上の死亡牛全頭を検査する体制を整える。対象は検査材料採取と冷蔵保管と焼却の施設。事業主体の都道府県市町村、農協に補助金(3種類)を出す。43億円。
 【食品安全研究】安全性と機能性を総合的に研究。とくに食品表示とトレーサビリティの裏取りを強化する技術の開発で監視レベル向上をねらう。また生活習慣病や日本型食生活の構築も研究する。事業主体は農水省など研究機関や大学。8億円。
 【DNA検証技術確立】DNA解析技術を活用した品種判別や産地絞り込みの技術と、食品の中の組換えDNA検出技術など食品表示の科学的検証に関する実証研究をする。5000万円。
 【肉用子牛対策】BSE対策と関連し、農畜産業振興事業団が肉用子牛生産者補給金の交付や食肉の買い入れ・調整保管などを行い、国としては肉用牛生産と食肉流通の合理化などにかかる施策を実施する。1302億円。
 【就農支援】就農希望者に対する相談や研修の体制などを強化。また定年帰農希望者の研修農場設置なども支援。事業主体の全国農業会議所、都道府県市町村、農協などに半額補助。6億9000万円。
 【農業経営活性化】関係者が新商品開発で意見交換などをする「食のシンクタンク」を都道府県ごとに設ける。また認定農業者などの経営改善に対し診断や研修をする。さらに認定農業者が地域貢献活動をする場合に必要な機械や施設をリース方式で導入できるようにする。事業主体の都道府県やJA全農などに半額補助。10億円。
 【生産基盤整備】農地の高度利用に向けた機動的な整備に事業を重点化し、その事業を契機にした経営体を育成する。うち「ほ場整備事業」と「土地改良総合整備事業」を統合して経営体の育成が見込まれる地域を対象に実施する「経営体育成基盤整備事業(公共)は874億円。担い手への土地集積を図る「経営体育成事業」は25億円。多様な作物生産に応じた整備を機動的に実施する「農地等高度利用促進事業」は88億円。都道府県市町村、土地改良区、農協などに半額補助。 【森林整備】地球温暖化対策に基づき2酸化炭素の吸収源である森林整備事業(公共)を急ぐ。3271億円。

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 20日内示された財務省原案の15年度一般会計予算は81億7891億円で、今年度当初予算に比べ0.7%増。政策的経費である一般歳出は0.1%増だが、農水予算は3兆1064億円で2.6%減となった。
 財務省はトレーサビリティ関連予算を「支援のやり方が納得できない」とゼロにし、もう一つの目玉である食品リサイクル推進などのバイオマス関連予算も削ったが、二つとも復活が見込まれる。

補正予算は2994億円

 今年度の農水関係補正予算案は2994億円となった。各省庁の緊急雇用対策の中で林野では森林作業のプロを育成する実地研修など「緑の雇用」予算がついた。また死亡牛検査施設や残留農薬検査体制の整備、さらに個性的な産地づくりに向けた生産・加工施設などの整備とか森林整備、バイオマスの利活用などが主な項目となっている。



農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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