大島理森農相は訪米から帰国後の14日、WTO農業交渉をめぐる米国側との会談について「米国などの提案(関税の一律大幅引き下げ)は日本やアジアの国々の農業に壊滅的な打撃を与えるもので、受け入れる余地はないと主張したが、日米の考え方の違いは、さらに詰めないといけない。今後はフレンズ国との連携を密にし、(引き下げには)柔軟性を持つべきだという思想を理解してもらう努力が大事だ」と語った。
米国側はヴェネマン農務長官が▽日本提案ではウルグアイラウンドよりも後退してしまうのではないか▽農業の多面的機能は「緑の政策」(削減対象外)で対応できる▽WTO交渉成功のため農業分野で大きな成果を挙げる必要があり、ルールを骨抜きにするような柔軟性を持たせることには賛成できない、とした。
またアーミテージ国務副長官は「米国提案は理想的なものだと考えている」などと述べた。
さらにゼーリック通商代表は「日本の農業提案は大幅な改革につながらない。ウルグアイラウンド方式では真の市場開放とはならない」とした。
会談は個別に行われ、大島農相は、いちいち反論したが、いずれも平行線で終わった。
一方、渡辺好明農水事務次官は会談結果を受け「ウルグアイラウンド方式か修正方式かという対立の形となって、状況は極めて厳しい」との認識を示した。
また次官は、EU委員会が数字を挙げた関税引き下げ提案をしたことについて「日本も同提案に対し、ある程度は賛否の姿勢を決める必要があるが、その表明内容が即日本提案となる。しかし日本としても数字を出さざるを得ない苦しい局面になるだろう」と語った。