JACOM ---農業協同組合新聞/トップページへジャンプします

農政.農協ニュース

MA米の削減主張
厳しい状況が共通認識に (1/21)

大臣とJAグループが懇談

 大島農水大臣ら農水省幹部と宮田勇JA全中会長らJAグループトップとの懇談が1月21日に行われた。この日のテーマは、WTO農業交渉、米政策、農協改革。
 WTO農業交渉について大島大臣は今月初めの米国、カナダ訪問についてふれ、「率直に意見を言い合う関係が大事。農業委員会特別会合や(2月に東京で開催される)ミニ閣僚会議でもEUと連携し、バランスのとれた結果となるよう全力を傾注したい」などとあいさつ。JAグループからは、アジア・EU農業会合結果の報告とミニ閣僚会議に合わせた運動予定などを伝えた。
 ただ、大島大臣はMAのルール見直し主張については「厳しい」との認識を示し、今後の交渉について「最後まで数字を出さないわけにはいかないが、基本はルールの見通しを立てること。ぎりぎりまで努力したい」と語った。JAグループもMAについての日本の主張をめぐる情勢は厳しいとの認識を持っており、これを「共通の認識」として今後の交渉に努力することが確認された。
 また、大島大臣は米国やケアンズ・グループが主張している関税の一律、大幅削減となるスイス・フォーミュラが採用されれば「日本の農業だけでなくアジアの農業も崩壊する。ミニ閣僚会議はメッセージを送る絶好の機会」だと語り、消費者も含め国民的な理解を得て交渉に臨む考えを示した。
 MA制度の見直しについて日本は、(1)消費量の基準年の見直し(直近の数字が基準になれば日本は米の消費量が減少しているためMA米の削減につながる)、(2)関税化の遅れにともなう過重の解消(これによりMA米は7.2%(76.7万トン)が5%(53.2万トン)に)を主張している。
 農協改革については全農に対して「処分の重さを認識して業務改善命令をすみやかに実行してもらいたい。農協改革は、意識の改革が重要。国民の目が見ている。原点を探しながら新しい要請に応えていくことが大事だ」などと語った。これに対してJAグループは農協のあり方に関する研究会の場を十分に活用し、秋のJA大会の決議に活かす考えを示した。
 また、米改革では地域農業のビジョンづくりがもっとも重要であることで合意ができているが、JAグループ側は食糧法の改正で「法律で平成20年度に国による生産調整の配分廃止が明らかになるようだと、地域によっては(自主的に)取り組めないところもあり米の需給がゆるむ」と改正にあたっての問題点を指摘した。これに対して大島大臣は「毎年、お互い協議し一つひとつ前向きに取り組んでいくことが大事だ」などと語った。
 また、15年度の106万ヘクタールの生産調整への取り組みが今後の改革の試金石となるとして、JAグループは「生産現場には自らの問題として取り組む意識が大事だと説明してほしい」と農水省にも役割を求めた。



農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
webmaster@jacom.or.jp