農業法人が生産した農畜産物を全国ブランドで共同販売し、また生産資材の共同購入もする「日本ブランド農業事業協同組合」(略称JBAC)が1月28日発足。4月から事業を始める。組合員は40法人。うち有限会社が30社、株式会社が1社で、あとは農事組合法人。
組合員の年間販売高は合計で約150億円だが、組合事業としては初年度取扱高1140億円を目指す。加工品を含めた共同の販売購買に加えて施設と機械のリースあっせんや業務受託、新販路開拓など幅広く事業を展開する計画。
全国の農業法人数は6200以上にのぼるが、さらに加入を呼びかけて組合員を増やしていく。
28日東京都内で開いた創立総会で初代理事長に選ばれた山形県東根市の安達茂夫氏((有)安達農園代表)は「各法人の持てる力を有機的に結びつけ、若い人が夢を抱いて参入できるような農業を目指して、燃える組織をつくりたい。販売面では各法人それぞれの全国的な販売ルートを取り込んだ展開とする。さらに新感覚によるマーケティング手法も開発したい」と語った。
食品の加工・販売・サービス業者と連携し「相互扶助の精神に基づいて」経済事業を行うという設立趣旨は、全農の法人版ともいえるが、安達理事長は「農協はもちろん、あらゆるグループと手を携えて前進していきたい」と強調した。
設立までには日本農業法人協会の中に研究会を設けて準備した。創立総会で同協会の坂本多旦会長は「農業のプロ中のプロの集まりとして、新しい流れをつくってほしい」と激励した。
設立趣意書は、牛海綿状脳症(BSE)や食品偽装などの問題から消費者が安全安心を切実に求めている状況を新たなビジネスチャンスとした。しかし、農業法人など専業的な農業経営体個々の経営力は弱いとして、「協働・共同」の経済事業展開を呼びかけた。
事業では組合員が取り扱う農畜産物・加工品をブランド化するための共同認証を行う。そのため栽培目標基準を作り、表示を共通化。また▽通販・直売▽量販店や外食産業向けなどの契約生産・販売▽市場向け共販などのシステムを確立する。
さらに組合員が新たな事業分野へ円滑に進出できるような調査研究をするため「未来農業研究センター」(仮称)を設け、「モデル農場」を企画・提案する。そのほか経営と技術の改善ノウハウ普及、人材を確保・育成するための教育の場や情報提供などを行う。
事業計画の具体化はこれから検討する。