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農政.農協ニュース

非農耕地用除草剤の販売について
農水省など4省が流通・販売関係団体に通知 (3/6)

◆農産物の栽培・管理を目的に販売・使用すれば罰則を適用

 「『非農耕地用』として農薬成分と同じ有効成分を含む除草剤等は、現行の農薬取締法の対象外となっており、広範に流通している実態があります。これらについても農薬取締法の対象として規制することが必要です」(日本生協連)など、昨年7月に判明した無登録農薬問題とは別に、農薬登録を受けず「非農耕地用」と称し全国で販売されている除草剤などが、農作物の栽培・管理に使用されており、食の安全という観点から、これを規制すべきだという指摘が従来からされていた。
 3月10日から施行される改正農薬取締法(改正農取法)では、登録を受けていない農薬を農作物の防除のために使用することを禁止しているので、非農耕地用除草剤を農作物などの栽培・管理に使用すると、その使用者は罰せられることになった。しかし、改正農取法では「非農耕地用」の販売などについて明確に規制されていないために、今後も問題が起きる可能性があるという指摘がされている。
 こうした指摘に応えるために国は、厚労省医薬局化学物質安全対策室長、農水省生産資材課長、経済産業省化学物質管理課長、環境省環境保険部企画課長・農薬環境管理室長の連名で、「非農耕地用除草剤を農作物等の栽培・管理に使用した場合には、その使用者が罰せられる」こと。また「非農耕地用除草剤は『毒物及び劇物取締法』(毒劇法)及び『化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律』(化審法)についても規制が適用される場合がある」ので「非農耕地用除草剤の販売等にあたっては」以下の点に留意することを周知するようにとする通知文書(非農耕地専用と称する除草剤の販売等について)を、2月28日に流通・販売に関係する8団体に出した。

◆農薬と誤解されないよう陳列にも注意

 それは、非農耕地用除草剤の販売にあたっては
1.これを農作物等の栽培・管理のために使用することは、改正農取法第11条(使用の禁止)違反となり、使用者は罰せられることを「購入者に周知する」
2.農作物等の栽培・管理のために使用することを「前提とした販売」は、同第9条第1項(販売者についての農薬の販売の制限又は禁止)違反となり、販売者が罰せられる。
3.「登録を受けている農薬と誤認させるような宣伝」は、同第10条の2第1項違反となり、販売者は罰せられる。
 と、改正農取法の内容をより周知徹底させるものでとなっているが、さらに
4.農薬と誤解して購入されないように「商品の陳列に十分に注意する」ことが指摘されていることが注目される。

◆毒劇法、化審法の適用もありうる

 そして、「非農耕地用除草剤の製造、輸入、販売又は授与に当たっては…パラコート等、毒劇法における毒物又は劇物に該当するものがある」ので、毒物・劇物については「毒劇法を遵守するとともに」以下の点に留意するとして
1.毒物・劇物の譲渡にあたっては、身分証明書などで譲受人の身元について十分確認をしたうえで、使用目的、使用量が適切かどうか十分確認を行う。
2.一般家庭で使用することを目的とする者には毒物又は劇物の販売を自粛し、代替品を勧める
ことをあげている。
 また、改正農取法に規定する農薬に該当しないものであっても「化審法に基づく規制が適用される場合がある」ので、「化審法の規制の適用の有無に十分注意し、同法が適用される場合にはこれを遵守すること」としている。

◆盆栽やゴルフ場芝への販売・使用も禁止

 この「通知」でいう「農産物等」は、「栽培の目的や肥培管理の程度の如何を問わず、人が栽培している植物を総称」しており、通常の農産物だけではなく「観賞用の目的で栽培している庭園樹、盆栽、花卉、街路樹やゴルフ場の芝のほか、山林樹木」も含まれるとしている。

 この通知を受けた団体は、JA全中、全農薬、日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会、日本チェーンストア協会、全国商店街振興組合連合会、日本化学工業協会、日本化学工業品輸入協会、全国化学工業薬品団体連合会の8団体。(2003.3.6)



農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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