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農政.農協ニュース |
WTO交渉妥協なき運動展開を決議 |
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JA全中の通常総会は3月7日、東京都内で開き、食料自給率向上に向けた品目ごとの政策確立対策や、消費者の信頼と食料の安全・安心を確保するための生産工程管理・記帳運動を進めることなどを盛り込んだ平成15年度の事業計画と予算を決めた。
またWTO農業交渉について「多様な農業が共存できる農業モダリティ(交渉の大枠)確立に妥協のない運動を展開する」と日本提案実現への決意を示す特別決議を採択した。 質疑では熊本県の代議員が、2月のWTO非公式閣僚会議に合わせたWTO国際市民集会が1万人規模だったことなどを挙げて全中の取り組みが弱いと批判。「熊本では当初5万人規模を主張し、参加要請30人に対して100人が参加した。海外からは韓国が100人を送り込んできた。モダリティ確立の3月末を山場とするのなら、EUなど諸外国にも呼びかけ、もっと大々的な運動を展開すべきではないか」と訴えた。 これに対して全中の宮田勇会長は「ハービンソン農業交渉議長の第1次提案がそのまま通れば日本農業は崩壊するといってよい。これを打破するため集中的に運動を盛り上げたい。3月末に向けた具体的行動は検討中だが、今のようなご意見を力にしていきたい」と答え、さらに閉会の辞でも「第一次提案をつぶすためにがんばる」との決意を述べた。 総会は14年度の優良農協と農協功労者を表彰のあと新年度事業計画などを決め理事の補欠選任では矢野征男・(株)農協観光会長、川井田幸一・JA鹿児島県中央会会長を選んだ。 事業計画は(1)食料・農業・農村の21世紀を切り拓く取り組み(2)JAグループの経営・事業・組織の改革(3)参加・参画及び連携の促進によるJA運動の展開、を柱とした。 ◆WTO農業交渉 日本提案実現に関する特別決議(要約) 農業交渉議長が提示したモダリティ第1次案は、関税の極端かつ大幅削減、ミニマム・アクセスの大幅拡大、特別セーフガードの廃止などを内容とし、一方で農業の多面的機能や食料の安全保障など非貿易的関心事項を無視したものであり断じて容認できない。 まさに第1次案は、農産物輸出国の利益拡大のみを助長し、輸入国の農業の存在を否定するものである。 わが国政府は決して妥協することなく、日本提案の正当性を十分に主張し、提案実現に不退転の決意を持って臨むべきである。 また国民各層には、この国の「食」と「農」がいかにあるべきか、考えていただくことを訴える。 われわれは、組織の総力を挙げて日本提案の実現に向けて取り組むべく、アジア、EUをはじめとする各国の農業者との連携をさらに強化し、多様な農業が共存できる農業モダリティの確立に妥協のない運動を展開する。 あわせて国民各層の合意形成をはかるべく、食の安全・安心と、水田農業の再編への取り組み、そして、これらを実践するJA改革に邁進するものである。 (2003.3.10) |