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農政.農協ニュース |
ケアンズ強硬派との話し合いは平行線 |
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WTO農業交渉の大枠に関する日本の主張を伝え、政府交渉を支援するためJAグループ代表団は2月末にジュネーブで各国政府関係者と話し合ったが、ブラジルの経済・貿易次官補は食料安保について「日本は豊かな国であり、自給の必要はないと思う」と日本の国策に真っ向から反論。またアルゼンチンの農務参事官らは「今次交渉では、より野心的な自由化が行われるべき」と関税の大幅削減を主張。農産物輸出国の集まりであるケアンズグループ15カ国中の強硬派2国と日本の主張の対立点をあらわにした。
3月6日の全中理事会に報告された詳細な代表団報告によると、アルゼンチンは「日本は工業製品の輸出で成功しているが、アルゼンチンは農産物輸出で利益を得ることなしには、そうした工業製品を輸入できない」と輸出入のバランス実現を農産物に求めた。 また「日本にとってコメが重要であることはわかるが、日本政府の対応は散漫である。例えば日本には輸出補助金がないのだから、その撤廃を主張すべきなのにそれをしていない」と日本と撤廃に消極的なEUが手をつなぐ関係にクギを刺した。 さらにEU批判を続けて「EUは環境問題を強く主張するが、実はBSEやダイオキシン問題が最も深刻なのはEUであり、手厚い農業保護により集約的な農業を行った結果、環境問題が発生している」と論難。「日本は本当に守るべきものに目標を絞ってカードを切るべきだ」と日本の戦略に異論を唱えた。 一方、ブラジルは「食料禁輸が起こることはあり得ない」と断定して、日本の食料自給政策を認めなかった。アルゼンチンも「国内支持と環境破壊には密接なつながりがある」と断定したが、両国の主張には「断定」の共通点があった。 代表団は5カ国関係者と会談したが、ケアンズグループであるウルグアイの農務参事官も「ジャポニカ米を作っているが、輸出は困難だ。一方、日本からは自動車など多くの製品を輸入している。途上国からの輸入拡大を理解してほしい」と求めた。輸出が困難なものを、なぜ生産するのかという疑問が残った。 同代表団はJA富山中央会の江西甚昇会長を団長とする北陸ブロックを中心に構成。アイルランドとスイスの農業団体との間では今後の連携強化を確認した。 しかしケアンズ3国との話し合いでは溝は埋まらなかった。 (2003.3.10) |