福岡の「八女茶」表示違反でJA全農は3月14日、農水省の業務改善命令に対する報告を提出。その中で「経済連と統合しても一体化が進んでいないのではないか」との指摘に対し▽1つの事業体として経営管理ができるように諸規定を見直す▽県本部で生産から販売までしている「完結」商品を含め全事業品目について指示系統を明確にするため商品管理規定を今年7月につくる▽全国本部と県本部の人事交流を広げるため9月に交流基準を設定する▽4月には26県本部の人事諸制度を統一する、などの改善方策を報告した。
また全国と各県の本部の枠を取り払った事業運営を構築し、会社化を含む新たな事業形態への転換なども進める、とした。
さらに外部有識者からなる「全農品質向上委員会」(仮称)を10月につくる。消費者、法律、会計、ISO認証、企業経営など各分野の代表をアドバイザリースタッフ(委員)とする理事長の諮問機関だ。コンプライアンス(法令順守)態勢の確立と事業体質の強化などについて外部専門家の知恵を注入する。
内部機構では、内部監査、法務、コンプラ、食品安全管理に係る部署を統合してコンプラと内部監査の統括部署を新設し、専任役員を置くことを検討する。
報告には、経営や事業の情報を公開して透明性を高め「消費者・国民からもわかりやすい事業体に変革」するとの約束もある。
全農は先に全農チキンフーズの不正表示で業務改善命令を受け、昨年、事業総点検をした。その中で福岡県本部は八女茶問題をつかみながら全国本部には隠していた。このため今回の報告では「(先の)業務改善命令に反する行為である」と重ねての陳謝をした。
◆農家直売も総ざらい
全農が事業総点検
JA全農は業務改善報告の中で昨年に続く2度目の事業総点検結果を提出した。これによると、今回は昨年のように現業部門に任せた自己点検でなく、上部の管理部門がそれぞれ管轄下の部署に出向いて点検し、現場からの報告書を確認した。
対象は全国本部と県本部の事業部門、協同会社、それに業務委託先、農家が全農の店舗・施設に持ち込んで販売するファーマーズマーケット(直売所)の商品なども総ざらいした。
内容は食品点検と業務点検に区分。点検担当者の事前研修も実施した。業務点検は「法令・基準などの遵守」などチェック項目を明示するリストをつくった。
結果は例えば、農家やJA内のグループがつくって持ち寄った漬物とか草餅とかの原材料が表示されていなかったなどという改善必要事項もあった。
「顔の見える商品」だからといっても手の抜けない生産者側にとっては、かなり難儀なコンプライアンスの課題も浮かび上がった。
食品表示点検の結果、要改善事項は2163点あった。総点検点数は19万4561点(商品アイテム数)だから約1%にあたる。
うちコメでは「厳選」とか「特選」など非常にあいまいな強調表示のものがあり、その扱いについて食糧庁の判断を仰ぐことにした。
青果では原産地表示、また加工品では原材料名の要改善が多かった。 (2003.3.18)