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農政.農協ニュース

円滑な移行への予算措置求める
生産調整研究会 (4/4)

生産調整に関する研究会の最終会合で亀井善之・新農相は「報告を受けた食糧法改正の実現に全力を挙げる」とあいさつ
生産調整に関する研究会の最終会合で亀井善之・新農相は「報告を受けた食糧法改正の実現に全力を挙げる」とあいさつ

 減反ではなく、作る数量で需給を調整するなどというコメ作りの大転換を検討してきた食糧庁の「生産調整研究会」は4月4日終了したが、最終会合でも、数量(ポジ)配分でうまくいくのかという現場の不安がにじみ出た。「3年以上耕作していない面積は配分から除くべきだ」「隠れ水田(田湧き)が出てこないように改めて検地をし、きちんとした台帳を作った上で新システムに移行する必要がある」などの意見が担い手の委員から出た。不公平な配分が過剰生産と、さらなる米価下落につながりはしないかという心配だ。
 また「農業者の信頼を得ながら意識改革をしていくのだから正確な台帳が必要だ」との意見もあった。
 しかし食糧庁は「これまでと違って、売れる数量をはじき、それを作る面積はどれだけかを出すのだから転換(ネガ)面積はつかまない。田湧きがどう出ようが、生産面積だけをつかむことにした。だから自動的に台帳の必要はなくなる。減反面積を農家に配分すると事務量がふえる」などと説明した。
 この日は生産調整手法の細部を検討した専門委員会の最終まとめ報告を受けて議論した。
 報告によると、配分する作付面積は地域ごとの基準単収をもとに市町村が定める。有機栽培などは慣行より低い基準単収とする。
 生産調整の実施確認は水稲共済引き受け面積と、生産出荷計画書に農業者が記載した作付目標面積を突き合わせ、書類上だけで済むようにする。
 加工用米は麦や大豆と同じ転作作物とし、主食用米生産目標数量の外数として扱うことが適当とした。
 豊作時の過剰米は区分出荷する。これには1.7ミリ以上の目による「ふるい下米」の活用などを考える。
 作況の公表前に過剰米として低い仮渡し価格で必要以上に集荷し過ぎた分は確定後に追加精算し、主食用に区分し直す。
生源寺眞一座長
生源寺眞一座長
 過剰米は区分保管で隔離し米価下落を防ぐ。そのコメを担保にした無利子の短期融資制度もつくる。コメが売れれば金銭で返済するが、融資期間(1年)中に売れなかった場合は担保のコメで返済できる。
 農業者の拠出による基金が融資の原資。過剰米の区分出荷を促す措置としては、未達成の程度に応じて都道府県段階の基金に対する国の助成金を減らす。
 また過剰米在庫の増減を翌年産の生産数量に反映させるシステムとする。
 この日の議論では、こうした改革を円滑に進めるための財政措置や、担い手経営安定対策と「産地づくり推進交付金」の予算増額を求める意見が多かった。
 これに対し食糧庁の石原葵長官は「生産調整関連予算は2400億円であり、これを増やせば他の農林予算が削られるから、どうするか。8月の概算要求までに調整する」と述べた。
 最終会合の後、研究会の生源寺眞一座長は「私個人としては一種の投資として思い切った予算投入をしてほしい。残された課題としては経営所得安定対策と農地制度の問題がある」などと語った。 (2003.4.9)



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