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7月22日の米政策改革対策
全国代表者集会
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産地づくり対策や米価下落影響対策など米改革の予算は、関連対策を含めて総額3000億円を確保する方向で7月25日に決定する見通しとなった。
JAグループは7月17日の米政策改革対策全国代表者集会を皮切りに22日、23日と連日集会を開き水田農業の構造改革を実現する万全の対策と予算確保を政府・与党に要請してきた。
23日朝の自民党農業基本政策小委員会では、JA全中の山田俊男専務が改めて重点要請をした。
重点要請の内容は、
(1)産地づくり対策は現行(10アール当たり6万3000円)の助成水準を堅持することと、生産調整に意欲的な取り組むことへの助長措置
(2)米価下落影響緩和対策では、現行の稲作経営安定対策をふまえ生産者拠出と政府助成は実質1対3とすること、
(3)担い手経営安定対策は、拠出率は1対3、補てんは9割とすること、また、対象となる規模要件は地域の実態に合わせて緩和できることとすること、
(4)過剰米短期融資制度では加工用米水準の融資単価とすること、
(5)円滑に米政策改革対策に移行するため、政府の責任で適正な備蓄水準(100万トン)とするため50万トン程度を処理すること、などだ。
同委員会では「(麦・大豆など本作化に向け)産地づくり対策に重点を」、「土地改良費用の負担が農地利用集積を妨げている。負担軽減策が必要」、「過剰米融資単価は水準が高すぎると生産者は米づくりに向かわないか」などと個別課題への議論のほか、「米改革は農政のビッグバン。りそな銀行に4兆円も使うなら、国民の生命を守る農業には(現行予算の)枠外で考えるぐらいの姿勢が必要だ」などの意見も出た。
農水省はこれまでのところ来年度からの米改革予算については、15年度水田農業関連予算2400億円とする方針を示しており、万全の予算措置を求めるJAグループは「農水省は財政事情を理由にかたくなな姿勢だが、抜本的な見直しが必要だ」(宮田勇JA全中会長)と主張してきた。
同日の議論を受けて、松岡利勝農業基本政策小委員会委員長は、つぎの方針で対策をまとめる意向だとした。
(1)米関連予算は、関連対策も含めて3000億円を確保、(2)産地づくり対策は現行の10アールあたり6万3000円水準を基本。目標を上回った生産調整達成には特別加算する仕組みの導入、(3)米価下落影響緩和対策の生産者拠出と政府助成は実質1対3とする、(4)担い手経営安定対策の拠出率は1対2とし、補てん割合は9割で検討。要件について基本は認定農業者(都府県4ヘクタール、北海道10ヘクタール、集落型経営体20ヘクタール)だが中山間地域など実態に合わせて都道府県知事が認定する仕組みとする。(5)過剰米短期融資制度の融資水準は60kg3000円水準に上乗せを検討。流通対策として調整保管も検討、(6)政府在庫の処理。
なお、米価下落影響緩和対策は、稲作所得基盤確保対策に、過剰米短期融資制度は、集荷円滑化対策に名称が改められる。
松岡委員長のこの方針はほぼJAグループの要請に沿ったものだが、担い手経営安定対策の拠出比率がJAグループの要請と異なり、1対2としている。ただ、24日朝の小委員会では、複数の議員から1対3とすべきとの意見も出て最終的な調整が行われている。
そのほか、産地づくり対策として畑地化する場合は国が10アールあたり8万円助成する案も示された。また、平成8年・9年産合わせて53万トンの政府在庫を処理する方向だが、約1600億円の財源確保も課題となっている。
(2003.7.24)