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農政.農協ニュース |
立場に大きな隔たり 調整は難航も |
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カナダのモントリオールで7月28日から30日まで開かれていたWTO非公式閣僚会合で米国とEUから8月の事務レベル会合に向けて共同ペーパーを作成することが表明されたが、亀井大臣とフィシュラーEU農業担当委員との会談では、3分野(国内支持、関税引き下げ方式、輸出補助)のいずれについても米国とは見解に隔たりがあるとの認識で一致しており、日本は「EUとはUR方式を基本にまとめていこうと一致している。共同作業といっても道のりは遠い」(渡辺農水事務次官)と調整は簡単に進まないと受け止め引き続きEUと緊密に連携していく方針だ。
今回の非公式閣僚会合で、日本は市場アクセスについては、WTO加盟145か国の過半数が支持を表明している品目ごとに関税削減に柔軟性を持たせるUR(ウルグアイ・ラウンド)方式以外に合意の途はないことや、生産条件の格差を無視したハーモナイゼーション(平準化)による大幅で急激な関税引き下げでは、多くの国の農業が壊滅的になることなど従来どおりの主張をした。 国内支持についても、各国の農業の実態や今後の情勢変化に対応できるよう柔軟性のある総合AMS(助成合計量)方式で現実的な削減幅とすることを主張。 こうした主張のうえで、バランスのとれたモダリティ合意とするためには、関税の一律・大幅削減など過大な提案をしている米国やケアンズ諸国が現実的になることが不可欠だと訴えた。 議論を受けて、スパチャイ事務局は9月のメキシコ・カンクンでの閣僚会合まで時間がないことから、各国が柔軟性を示すべきだとし、市場アクセスについては米国・ケアンズが主張している関税一律削減方式のスイス・フォーミュラと日本・EUなどが主張しているUR方式との中間の妥協案を模索する必要があると指摘した。 そして、市場アクセスについては米国からハーモナイゼーションと柔軟性を組み合わせた新たな提案が、EUからはUR方式の変形案が示された。両案とも関税引き下げ方式に、アクセス数量の拡大を組み合わせたものだという。さらに、8月に向け米国・EUから市場アクセスを含めた共同ペーパーを作成するよう努力する意向が示された。 ◆EUの離脱 「可能性はない」 (渡辺次官) 米国とEUが共同ペーパーを作成する意向を示したことについて渡辺好明農水事務次官は「カンクン閣僚会議を成功に導きたいとの意向から、歩み寄り、調整という空気が出てきた」と語ったが、「共同作業をするといっても立場は大きく離れている」と溝は依然深いと指摘、「道のりは遠いと思っている」と語った。 また、今回の会合でEUから合意に向けて「一歩踏み出す」との情報は事前に日本側に伝えられていたという。ただ日本が共同提案に加わらなかったのは、米国、EUがスイス・フォーミュラとUR方式それぞれの「代表選手」であることや、さらに「この作業が交渉の最終結論を出すわけではない」からだと説明した。 今後、EUがUR方式を主張するグループから離脱する可能性について「その可能性はない。日本とEUはUR方式を基本線とすることで一致している。77か国が支持しておりそれを無視して変えることはない」としEUと引き続き緊密に連携し「(両国)の作業状況を注視し、情報を整理する。必要な手だてを打つ時間はある」と語った。 WTO農業交渉は、8月11日から事務レベルの交渉が行われる。また、8月26、27日に開催される一般理事会でカンクンでの閣僚宣言の素案が提出される見込み。交渉は8月中下旬にヤマ場を迎えることになりそうだ。 (2003.8.1) |
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