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上限関税を設定 WTO閣僚会議2次案−日本 修正を主張 (8/24)

 WTO(世界貿易機関)交渉で8月24日、一般理事会のカスティーヨ議長は9月のメキシコ・カンクンの閣僚会議に向けた閣僚宣言2次案を加盟国に示した。
 このなかで農業分野については付属書として添付され、8月に米・EUが提出した共同ペーパーとほぼ同じ内容となっている。
 市場アクセスでは、関税引き下げについてUR(ウルグアイ・ラウンド)方式と一律引き下げ方式のスイス・フォーミュラのブレンド方式を提案。同時に、上限関税も設定するとしている。
 また、途上国については削減幅を少なくできる特別品目を設けるなど途上国に配慮した項目も盛り込んだ。
 国内支持では共同ペーパーにはなかった「緑」の政策の要件について「引き続き交渉の対象とする」とされ、要件の見直し、上限の設定などを求める国に配慮した内容で日本にとっては厳しい項目が盛り込まれた。
 輸出補助金や輸出信用については、期限を区切った撤廃品目と「段階的撤廃をめざした削減」品目を設定するとしている。また、日本が求めている輸出禁止・輸出制限に関するルールも交渉の対象とした。
 日本にとってもっとも問題である市場アクセスで、共同ペーパーでは実質的な改善がなされるよう関税割当の拡大が求めれていたが、農水省によるとこれまでの交渉の過程で「関税割当の拡大は必須ではない」と加盟国で確認されたという。
 また、上限関税を超える品目については、上限まで引き下げるか、他の品目の関税割当の拡大措置をとるという選択肢が明記された。
 たとえば、米の輸入量の拡大の代わりに他の品目の輸入量拡大で対応することも可能だ。ただし、この措置は関心国との2国間交渉(リクエスト・オファー方式)に委ねられることになる。代替品目については日本が決めるのではなく関心国から要求されることも十分考えられるため、決して柔軟性が確保できたとはいえなさそうだ。
 亀井農相は25日、2次案についての見解を発表。米など重要品目について関税割当の拡大は必須ではないと確認されたものの「非貿易的関心事項の位置づけが不十分」で「上限関税の設定」は、「極めて問題が多い」として、引き続き修正を要求するとしている。
 同案については25日からの一般理事会で協議されるが、農水省によると「この文書自体の位置づけから話し合うことになる」としており、採択されるかどうかは不透明。かりに協議のたたき台として議論されたとしても、日本は上限関税の設定や関税割当拡大に反対しているスイス、ノルウエー、韓国などと連携し、あくまで修正を求める方針だ。

◆2次案の修正 強く要求

 JA全中の宮田勇会長は25日、閣僚宣言2次案につての談話を発表した。
 このなかで同案は「多様な農業の共存」という考え方からすれば不十分であり「関税上限の設定の考え方が修正されておらず重大な問題」と指摘。政府とともに修正を引き続き強く主張していくとしている。 (2003.8.26)


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