メキシコ・カンクンで行われた第5回WTO(世界貿易機関)閣僚会議に出席した亀井農相は9月17日、農水省で記者会見した。
交渉は決裂したが農業分野では日本はスイス、ノルウェー、韓国など10カ国グループを形成し、関税上限設定の反対などを主張してきた。
農相は「その結果、閣僚宣言3次案で上限関税設定の例外措置として、非貿易的関心事項の観点から指定される品目について適用除外とする記述が括弧書きながらも追加された。関税の上限設定という考え方は残念だが、多様な農業の共存という基本的な考え方が受け入れられたとそれなりに評価できる」と述べた。
交渉がどう再開されるか見通しは立っていないものの、交渉の方針は「ウルグアイ・ラウンドで関税は生産条件の格差を反映して関税を設定するとした。また、改革の継続性も確保しなければならない」として引き続き「上限関税の設定にはわが国の主張を展開していく」とした。
今回の閣僚会議では途上国の発言力が増大していることを印象づけたが農相は「途上国との関係強化は重要」と途上国対策の必要を強調、一方、日本と共同修正提案した10か国グループには途上国も含まれていることから「こうした友好国を核にして関心を共有する国を拡大していく」と語った。
その一方、「世界経済全体を考えると構造改革を進めなければならないことは時代の要請。基本計画の見直しなどそれなりのスピード感が必要ではないか」と農業の構造改革など農政改革をゆるめることなく進める考えを示した。 (2003.9.24)