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広域物流の実現−−徳島・山口で「県域農家戸配送」がスタート  (10/21)

◆経済事業改革の実践

 10月1日「JA全農とくしま配送センター」、同6日「JA全農やまぐち物流センター」の出発式が相次いで開催され、両県での県域農家戸配送がスタートした。
 JAグループの物流改革は、23回JA全国大会でも経済事業改革の重要な柱として位置づけられているが、JA全農では生産資材コストを削減するための主要な柱に「物流コスト削減」を掲げ「JA域を越えて物流の合理化をおこなうため、連合会が主体となって広域物流拠点の整備」を進めてきている。全農が進めている「広域物流」は、全農県本部がJAから物流業務を受託し、物流情報システムを導入して、肥料農薬、農業用資材などを中心に、生産資材および生活購買品の効率的な受発注・保管・配送を行うものだ。
 JA全農とくしまでは、平成14年8月に決定した「JA広域配送拠点物流基本構想」にもとづき、物流コスト削減と組合員に対するサービス向上を目的に、JA板野郡をモデルJAとしてスタートし、今後さらに参加JAを増やし県内全域での物流改革を目指していく。
 JA全農やまぐちでは、JA全農やまぐち物流センターを中央物流センターとして、JA山口宇部とJA山口美祢を先行JAとし、2JA同時に県域農家戸配送を受託。今後5年をめどに県内全JAの参加を目指す予定となっている。

◆「三位一体」によるJAの事業改革

 全農が策定した「物流改革構想」によれば、物流改革の目的は、単なるコスト削減にとどまるものではなく、組合員サービスの再構築や新たなビジネスモデルの構築、これを支える組織体制や役職員意識の改革など、物流改革を切り口として、JA全体の事業改革に展開していくことにある。具体的には、物流合理化、生産資材店舗の整備、営農・経済渉外活動の強化による「三位一体での取り組み」を進めることで、生産資材価格の引き下げ、JA経営収支の改善、組合員サービスの向上と組合員利用の拡大をはかり、JAの事業改革を実現する、というものだ。
 広域物流は、JAの在庫の削減、車両経費の削減、物流対応要員の削減だけでなく営農・経済渉外員への要員の再配置による組合員対応の強化などのメリットが生まれる。さらに全農の「物流情報センター標準システム」を導入することにより、組合員の購買履歴データなど物流情報が物流センターに蓄積されるので、JAではこれを営農指導や経済渉外活動の支援、組合員の利用拡大方策の検討などに活用することができる。

◆加速する物流改革

 すでに14年度末までに、広域物流拠点22、JA域物流拠点34の56拠点が実現し、15年度は10月にスタートした徳島・山口を始め広域拠点23、JA域拠点7が予定されており、今後も毎年30拠点を整備し、17年度末までには145の広域物流拠点が実現される見通しとなっている。現在、ほぼ全県で県域物流構想が策定あるいは検討されており、22年度までに300拠点を目標に取り組まれている。
 物流改革は一朝一夕に実現できるものではないが、経済事業改革の実践に向け、着実に実現のペースが速まっていることは間違いない。全農の事業改革・システム推進部物流改革推進グループは、物流の現場を担う県域での人材を育成するための研修会・講習会を充実させながら、広域物流の全国展開を実現していきたいと考えている。

(2003.10.21)


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