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アジア10カ国からの研修生を代表してインドネシアの協同組合職員フォウラさん(31)が感謝のスピーチをした。 |
途上国の協同組合運動指導者を養成するためJAグループと政府が資金を拠出してつくった(財)アジア農業協同組合振興機関(IDACA)は今年が創立40周年。これを記念する形でJA全中理事会は4月3日東京・町田市の同施設で開催。併せて現在研修中の15人を激励した。
アジア10カ国からの研修生を代表してインドネシアの協同組合職員フォウラさん(31)が「研修で『農協づくり』と『食料安全保障や自給率の向上』が重要課題であると再認識しました」と感謝のスピーチをした。
またベトナム協同組合同盟職員のグェンさん(34)がアオザイ姿でIDACAの理事長であるJA全中の宮田勇会長に感謝の花束を贈った。
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ベトナム協同組合同盟職員のグェンさん(34)がアオザイ姿でIDACAの理事長であるJA全中の宮田勇会長に感謝の花束を贈った。 |
宮田会長は「帰ったら日本で学んだことを生かして母国の農業振興に役立てることを期待します」と激励した。
IDACAは設立以来、99カ国から4471人の研修生を受け入れた。元研修生の中にはマレーシア農業省次官や、タイ、ベトナムでは関係省庁の局長クラスもいる。もちろん協同組合連合会など全国組織のトップリーダーになっている人も多い。
国別では韓国からの研修生が518人で最高。次いでタイ、インドなど。02年度はケニアなどアフリカ、ヨルダンなど中近東、ルーマニアなど東欧、そして中南米からも受け入れた。
このため今年2月には国際協同組合同盟(ICA)が、アジア・太平洋地域の農協の人材開発に重要な役割を果たしているとIDACAへの感謝決議をした。 カリキュラムには通常の科目に加え、WTO農業交渉に対するJAグループの主張や取り組みの説明もして理解促進に努めている。
またIDACAは帰国後の研修生の活動状況などを追跡しており、各国には元研修生の同窓会もできている。こうした国際的な人的ネットワークはWTO対策として全中が推進している「協力のためのアジア農業者グループ会議」開催などに際して大きな役割を果たしている。
◆JA見学の印象語るアジアの研修生たち
IDACAの研修は農水省、国際協力事業団(JICA)、国際機関(ICAなど)の資金助成などで行われ、現地研修もする。現在の研修生15人は3月下旬にICAの設定したカリキュラムで群馬県下のJAを見学した。そうした現地研修での印象がやはり一番強烈だったようだ。
4月3日、研修生代表4人はインタビューで記者たちに▽日本人は勤勉だ▽規律正しい▽日本農業はハイテクニック▽洗練された技術を持っている▽システムがよく整備されている▽農畜産物の品質が高い、などと口々に語った。
ベトナム協同組合同盟管理部ホアンさん(47)=群馬のJAで学ぶことが多かった。種類がベトナムの農産物と似ていても群馬のものは品質が高く、生産量も多い。ベトナムは機械化されておらず、営農指導もない。直売所は農民にとって大変よいことだ。
インドネシアのフォウラさん(31)=協同組合に対する教育指導機関に勤めて8年になる。日本の組織はよく整備され、JAの意思決定は下から上へのボトムアップだ。インドネシアはトップダウンだ。日本の組合員はJAを使うことに利点を感じている。
中国全国供銷合作社協同組合指導部課長ニージンさん(35)=中国の経済発展は早いが、農村には問題が多い。日本の農家所得は良いという印象を受けた。JA組織は完璧なシステムだ。農業技術も農産物の品質も高い。これを維持すれば中国が輸出を増やそうとしても問題はないと思う。
インド農業省農協局部長代理サンパさん(42)=JA合併が参考になった。日本は総合農協なので1つの部門が悪くても他の部門で採算をとっているのが良い。WTO農業交渉問題でインド政府は農業補助金カットを考えているが、実現すれば農業は苦しくなる。 (2003.4.7)
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ベトナム協同組合同盟管理部ホアンさん(47) |
インドネシアのフォウラさん(31) |
中国全国供銷合作社協同組合指導部課長ニージンさん(35) |
インド農業省農協局部長代理サンパさん(42) |