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農政.農協ニュース

経済事業改革
JA全国大会組織協議案 (4/7)

 10月のJA全国大会議案は経済事業改革を軸に、生産履歴の記帳運動や、マーケティング戦略に基づく営農指導の強化など、これだけは全国のJAが必ず実行しようという最重点22項目を掲げた。JA全中理事会が4月3日に決めた組織協議案は「経済事業改革中央本部」(仮称)の設置も打ち出した。改革指針を策定し、実行を促進するために全中、全農、農林中金、全共連などで構成する。各県ごとの改革本部も設ける。これら議案は6月末までに組織協議をし、7月の全中理事会で正式に決める。
 組織協議案は、3年前の前大会で決議しておきながら、取り組みが遅れている問題点を5点挙げている。
 1点目は偽装表示や無登録農薬使用という食の安全安心を揺るがす事件を起こしたこと。次いで各JAでは地域農業戦略の策定が進んだが、具体的な実践が不十分であること。さらに農地保有合理化法人の半分が休眠中など担い手対策と農地流動化の取り組みが不足している、とした。
 経済事業改革の遅れでは▽生産資材価格引き下げに必要な配送拠点整備300という最終目標に対し、現状はまだ31拠点にとどまっていること▽赤字解消対象のJAガソリンスタンド197カ所に対して107カ所の収支が悪化していることなどを挙げた。
 また役員の定年・任期制の導入が全JAの13%に過ぎないことなど合併JAの体制・機能整備や、女性と担い手のJA運営参画が遅れている、とした。
 遅れの原因や反省点としては▽課題が総花的でメリハリがついていなかった▽決議のしっ放しで単位JA段階まで浸透しなかった、などを挙げた。
 その上に立って、今後3年間にJAが実践する最重点事項を掲げ、進行状況を管理していく。22項目は次の4点にくくられる。
 (1)安全・安心な農産物の提供と地域農業の振興(2)組合員の付託に応える経済事業改革(3)経営の健全性・高度化への取り組み強化(4)協同活動の強化による組織基盤の拡充と地域の活性化。
 経済事業改革については農水省の「農協のあり方研究会」が「JAバンクのように自主ルールをつくる」という提言をしたが、信用事業なら例えば自己資本比率のような財務的数値を掲げられるが、経済事業ではそれが困難なため、改革の進行を客観的に評価できる「指標」を設定する。
 例えば、生産者と消費者の接近に向けた「販売戦略の見直し」という課題については、直売販売を3年間で2倍にする指標を掲げて直売所や地産地消を拡大したり契約販売を増やして販売チャネルを多様化する。
 流通・加工段階では品質管理の国際規格「ISO」の取得状況を指標に品質管理責任者を配置する。
 農業振興では耕地利用率を見て高齢者を含めた多様な担い手を掘り起こす。
 生産資材価格引き下げでは1JA1事業拠点以下を目指して拠点の統廃合と物流合理化を進める。
 一方、経済連との統合効果の発揮に向けた全農の事業システムについては7月をめどに「事業改革構想」を策定する。
 なお組織協議の進め方では4月下旬から5月中旬にかけて全国6ブロックでJA組合長らによる代表者会議を開く。 (2003.4.7)


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