都府県の生乳生産が減り続け、牛乳や乳飲料の季節需要がピークとなる9月には北海道産を7万5000トンも移入する必要があり、これが同月前半に集中すると搬出能力を大きく越えるなどとする年内の需給見通しを4月7日、酪農乳業情報センターが発表した。
生乳生産は北海道が引き続き前年を上回るが、都府県では減少。全国的に年内の需給はひっ迫の見通し。
このため夏の飲用牛乳需要期に一昨年のような供給不足にならないよう同センターは6月初旬をめどに安定供給体制を整える。
当面は北海道産の冷却・搬出・貯乳能力の改善をJA全農、ホクレン、乳業メーカーなどが協議する。
全国の生乳生産量見通しは第1四半期(4〜6月)に微増するが、12月までの通年では、わずかに前年同期を下回る。
生産量から自家消費を除いた供給量も、わずかに減って第2四半期の予測数字は前年比0.3%減。これに対し需要は▽牛乳が1.5%増▽加工乳は引き続き2割近い減少▽乳飲料は低迷が一巡。年内はわずかに増加▽はっ酵乳は安定的に推移する、と見通した。
一方、脱脂粉乳の需要は加工乳の落ち込みなどで引き続き減少。在庫指数は適正を100とすると250前後にも積み上がり、さらなる過剰対策を迫られている。
バターの需要は代替品として利用されていたチーズ輸入の停止で在庫指数が70前後に下がったことから、増加が見通される。
生乳の仕向け量は、飲用牛乳等向けが牛乳需要の回復と、はっ酵乳の増加といった消費動向の変化から大きく伸びたが、今後は漸減傾向の推移になると予測した。乳製品向けも前年を下回るとの見通しだ。
◆需給見通し毎月発表 酪農乳業情報センター
酪農乳業情報センターは全農や全酪連などの生産者や乳業者の団体からなる需給専門部会を四半期ごとに開いて生乳の需給見通しを策定、公表しているが、これに加えて今後は月ごとの見通しもセンターの試算値として算定し、毎月発表することにした。試算値は需給専門部会の検討方向をもとに部会の委員(13人)などと調整してはじく。
広域流通に必要な生乳数量や、秋以後の乳脂肪製品需要期に対応した用途別配乳、また乳製品在庫の適正化などには早い段階での判断や弾力的対応が求められるため、これに役立つよう短期見通しを提供する。
また、同専門部会の下に「需要期需給情報連絡会」(仮称)を設ける。構成は酪農乳業団体と在京の主要乳業者などの実務者。
さらに夏場対策などに神経を使う量販店など流通関係者や消費者のためにホームページに「今月の需給情報」(仮称)というサイトを今月末から設ける。 (2003.4.11)