JA全中発行の「国際農業・食料レター」3月号では、WTO農業交渉のモダリティ1次案に対する米国農業団体の反応を紹介している。
アメリカン・ファーム・ビューロー(AFB)や全国トウモロコシ生産者協会(NCGA)など主要農業団体は、1次案について反対を表明しているという。その理由は関税削減についてスイス・フォーミュラが採用されていないことから。一層の自由化を求めるという立場だが、一方で国内支持水準を制限する内容や輸出補助金の一種である米国の輸出信用(輸入側に購入代金を保証)について規律を求める方向には支持できないとの立場も明らかにしているという。
同レターは、EUの輸出補助金制度には早期撤廃を求めながら、自国の制度には現状維持をというのは「まさに、矛盾。自由・公正を標榜するAFBの身勝手さが明白」と批判。
今後の交渉についてはWTO体制下で食糧法改正など国内支持の削減努力を行ってきた日本など「懸命に農政改革に取り組んできた国々」の主張と、UR農業合意による市場開放という「自らは努力せず恩恵を蒙ってきただけの国々」の主張の軽重を見極めることこそが唯一の打開策、と指摘している。 (2003.4.11)