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「答申」を新井会長に手交する中川委員長 |
JA共済連の新井昌一経営管理委員会会長から「JA共済事業の今日的な事業展開方向とこれを実現するためのJA・連合会の一体的な事業実施体制のあり方」について諮問されていた農協共済審議会(委員長:中川泰宏JA共済連経営管理委員会副会長)は、4月24日、2月12日からの4回にわたる審議結果をまとめた「答申」を新井会長に手交した。答申を受けて新井会長は「次期3か年計画等の方針・具体策に反映し、着実に実践していきたい」「JAグループ全体として取り組む課題については、第23回JA全国大会議案に反映し、JAグループが一体となって取り組んでいきたい」と挨拶した。
◆JA共済の使命を明文化
答申は、1.JA共済事業の進むべき方向、2.磐石な事業基盤の構築と今日的な事業実施要件の確保、3.JA・連合会を通じた事業実施体制の再構築、4.答申の具体化に向けた最重点課題の4部で構成されている。
まず、1.の進むべき方向では、激変する事業環境下で「JA共済が組合員・利用者に選択され続けていくためには、今日的な事業展開方向とこれを実現するための必要条件を明確にした上で、その着実な実践をはかる必要がある」とし「着実に実践していくためには、協同組合理念等を踏まえ、JA共済事業の使命を明らかにし、全役職員に徹底することが不可欠である」と、以下のような「JA共済事業の使命」を明文化した。
一、JA共済は、農業協同組合が理念とする「相互扶助」を事業活動の原点とし、常に組合員・利用者の信頼と期待に応え、「安心」と「満足」を提供します。
一、JA共済は、最良の保障・価格・サービスによる「ひと・いえ・くるまの総合保障」の提供を通じて、組合員・利用者の豊かな生活づくりに努めます。
一、JA共済は、事業活動の積極的な取組みを通じて、豊かで安心して暮らすことのできる地域社会づくりに貢献します。
◆事業実施要件の確保と事業法制の整備
2.の今日的な事業実施要件の確保では、「磐石な事業基盤の構築」のために、提案型推進を強化するとともに「既契約者へのフォロー活動の徹底」「新規利用者の拡大」をJA・連合会が一丸となって進める必要がある。とくに、次世代層への「より積極的な取組みを進める必要がある」としている。
そして「今日的な事業実施要件の確保」として、「競争力の確保」「健全性の確保」「信頼性の確保」をあげたうえで、これらの確保をはかるための課題について「農協法等の改正による『今日的な法制度面の枠組みの構築』に向け、主体的に取り組むことが不可欠である」としている。さらに「JA共済事業法制の整備」にあたっては「契約者・JA・連合会の三者間で契約を締結する三者契約方式等について検討を進める必要がある」とした。
◆一体的事業方式の確立と事業機能の高度化
3.の事業実施体制の再構築では、「JAおよび連合会による一体的事業実施方式(共栄火災を含む)の確立」と「事業機能の高度化(組合員・利用者サービスの向上等)と低コスト体質の実現」の2点を踏まえた実施体制の「再構築をはかることが不可欠である」としている。そのうえでJAの取り組み方向として、サービス強化と満足度向上の実現を第一義とした上で、共済事業部門の確立、体制整備・人材育成、部門別損益管理の確立と共済事業費の有効活用、JAの体制整備状況に応じた機能発揮のあり方の検討に取り組む必要があるとしている。
さらに、連合会の取り組み方向としては、JA支援機能、仕組開発、資金運用など専門的な機能の高度化とともに「効率性の追求による低コスト体質の実現をはかる必要がある」とし、このために、子会社や関連会社を含めたJA共済グループとして「経営資源の有効活用をはかることが不可欠である」と指摘した。また、県本部・全国本部の機能分担のあり方も含め「機能ごとの低コスト体質の実現に向けた検討を行うなかで、これらを実現する最適な体制を明らかにする必要がある」としている。
◆事業体制の早急な検討とJAグループ一体となった法制整備
4.の具体化に向けた最重点課題としては、事業体制の再構築について「早急に検討体制を立ち上げる必要がある」ことと、「JA共済事業法制の整備」について検討を進めるとともに、「行政庁への要請をはかり、次期農協法改正に反映させる必要がある」ことをあげた。とくに「事業法制の整備」については、前文で「JAグループにおける認識の共有化をはかりながら、JAグループ一体となって着実に実現していくこと」を審議会として要望した。
<農協共済審議会委員>
1、農業協同組合組合長委員
宮城県 栗っこ農業協同組合 代表理事組合長 菅原 章夫
神奈川県 秦野市農業協同組合 代表理事組合長 松下 雅雄
石川県 金沢市農業協同組合 代表理事組合長 田上 重康
奈良県 奈良県農業協同組合 代表理事理事長 永田 正利
愛媛県 越智今治農業協同組合 代表理事組合長 渡部 元博
鹿児島県 南さつま農業協同組合 代表理事組合長 中島 彪
2、都道府県本部運営委員会会長委員
青森県本部運営委員会 会長 種市 一正(おいらせ農協会長理事)
埼玉県本部運営委員会 会長 鈴木 芳男(南彩農協会長理事)
岐阜県本部運営委員会 会長 山田 正(美濃加茂農協代表理事組合長)
滋賀県本部運営委員会 会長 廣瀬 竹造(グリーン近江農協会長理事)
山口県本部運営委員会 会長 國澤 是篤(防府とくぢ農協理事)
佐賀県本部運営委員会 会長 池田 覚(西有田町農協会長理事)
3、学識経験者委員
東京農業大学 教授 白石 正彦
全国農業協同組合中央会 専務理事 山田 俊男
4、全国共済農業協同組合連合会委員
◎全国共済農業協同組合連合会 経営管理委員会副会長 中川 泰宏
全国共済農業協同組合連合会 代表理事理事長 前田 千尋
(注)◎印は委員長、○印は副委員長 (2003.4.25)