03年度も名目GDPの減少が続き、景気動向は軟弱で、停滞感は強い、との経済見通しを農林中金総合研究所が5月23日発表した。
実質GDPはプラス0.1%増だが、デフレ環境が続いて名目GDPはマイナス0.9%と3年連続のマイナス成長を予測した。
前回(2月)予測より実質GDPを0.5%上方修正したが、主因は民間設備投資が自動車やエレクトロニクスなどで新製品・新技術開発の設備投資が底堅く推移したこと。加えて物価指数の下落率も実質額を押し上げているとした。
海外ではSARS感染拡大が東アジアを中心に経済活動の抑制要因となり、また欧米の成長鈍化が目立ち、楽観できないと見通した。
国内でも雇用・財政を中心に構造調整圧力が強い。
家計などの民間最終消費は賃金減少が続き、夏期手当の前年割れ予想、雇用不安さらに社会保険や税金の負担増などから財消費を中心に不調は避けられない。
民間住宅投資は低金利などプラス材料はあるが、構造的縮小傾向の下で減少が続くと予測した。
輸出は上半期に減少が続くとしたが、SARSが7〜9期中に終息。欧米景気も反転すると想定して下半期は増加に転じると見た。
なお国政選挙をひかえ、財政出動の要求が高まるのを受けて内閣が真水2兆5000円規模の補正予算を組み、うち半分が年度内に執行されると想定した場合は、下半期のGDPをプラス0.5%持ち上げるという試算もしている。 (2003.5.27)