全農チキンフーズ(株)が鹿児島くみあいチキンフーズ(株)に製造を委託し、JA全農を通じて生協連合会コープネット事業連合に販売した鶏肉の産地偽装問題で、コープネットとJA全農との間の損害賠償交渉が合意したことが、このほど明らかになった。
合意の内容は、
1)生協組合員への返金額(14億円)および臨時経費(1億円強、合計15億円強)のうち、4億円を全農側が賠償する。
2)偽装事件について、全農として改めて陳謝する。あわせて全農は今後の再発防止と遵法思想の徹底を通して消費者の信頼回復に努める決意を文書でコープネットと各会員生協に提出する。
というもの。
賠償金の4億円はJA全農と全農チキンフーズが負担し、合意の2.の文書とともにすでにコープネットに支払いが終わっており、会員4生協に返金額に応じて返還されている。生協組合員への返金額がもっとも多かったさいたまコープ(返金額6億4500万円、含諸経費総額約7億3000万円)への返還分は約1億7500万円だという。
コープネットとJA全農との交渉は昨年4月から行われてきたが、今回の合意について、さいたまコープ理事会は4月5日に、1)契約違反での「全額返金」については社会的基準がないこと、2)今回の件は生協側にも日常運用などで責任の一端があること、3)全農から信頼を裏切ったことへのお詫びと再発防止への決意がされたと受け止め、合意を承認し、「今後も全農とはその改革を注意深く見守り、日本の農業の継続的発展のために建設的な関係をつくって」いく旨の文書を組合員に配布した。
コープネット会員生協は「生協として組合員に責任を負う立場」から全額を返金しているが、この返金は「契約違反を理由とする全農への賠償請求とは違う」ものと総代会で確認されており、今回の合意でこの問題は決着したことになる。 (2003.6.6)