◆時代のニーズに応え「原価計数管理コース」を新設
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同校では、生産農家の後継者や食肉専門店の後継者、食肉産業に就職を希望する新卒者や専門技術や体系的な知識を改めて学ぼうとする人たちを対象とする「総合養成科」(1年間)と、食肉小売店や量販店食肉部門の専門家・MDの養成、営業部門担当者の実力アップのための「食肉販売科」(3・5カ月)の2つ修学コース、食肉関連産業に働く人や管理者の自己啓発やブラッシュアップに応える1日〜4泊5日の「短期コース講習会」や「セミナー」を開催している。しかし、長期間にわたって学校などで学習することは難しい人たちも多いため、こうした人を対象に、食肉関連産業で唯一の通信教育講座を開講している。
通信教育は、今年度で10年目を迎えるが、従来からの「食肉流通業務実践コース」を全面的にリニューアルするとともに、量販店、食肉卸・小売業、食肉加工業をはじめレストランや焼肉店に従事する人たちにとって、必須である原価管理の基本をマスターできる「食肉の原価計数管理コース」を新設し、時代のニーズに応えることにしたもの。
◆内容をさらに充実し、写真・図版で分かりやすく
「食肉流通業務実践コース」
「食肉流通業務実践コース」はいままでにテキスト内容を2回更新しているが、今回はカリキュラム全般にわたって見直しを行い、内容を充実するとともに、文字を大きくし、写真・図版を多用することで、読みやすさ・分かりやすさをはかっている。
単元構成とリニューアルの特徴点は
【第1単元】「家畜生産概論」(主要家畜の飼養動向、品種と特性、飼養管理、飼料、疾病、BSEなど)を新設。
【第2単元】「食肉概論」(食肉の基礎知識、食肉流通・消費)では、新たに「食肉加工品・冷凍食品の流通」を加えるとともに、「食肉の安全性確保システム」をクローズアップし、独立した項目としている。
【第3単元】「仕入・販売」では、トレーサビリティや表示、関連法規など今日的な課題に応える「食肉表示に関する基礎知識」を新設した。
【第4単元】「経営・販売」では、「マーケティング」を大きな項目として新設するとともに、販売管理の項目に「在庫管理・棚卸実務」を新たに設けた。
【第5単元】「販売技術」では、牛・豚の「コマーシャル規格」と「内臓肉の商品づくり」が新たに加わり、より現場で活用できる内容となった。
【第6単元】「衛生管理」は、項目は従来と同じだが、内容を全面的に見直し、現場ですぐに活用できる内容となっている。
◆食肉業界から期待される「原価計数管理コース」
新設された「食肉の原価計数管理コース」は2つの単元で構成され
【第1単元】は、原価の重要性と原価計算の目的、原価意識の留意点、原価の構造要素と歩留分析、部分肉(セット、パーツ)の原価計算、精肉の原価計算
【第2単元】原価管理に必要な商品知識、製造原価と取引指数、値入・売価計算、カッティングデータ活用の値入計算、値入ミックス、棚卸原価
という内容となっている。
食肉の原価計算については前述の「実践コース」の一部としてはあったが、枝肉・部分肉・精肉分野ごとの原価計算と計数管理に必要な商品知識から実際の原価計算までを総合的・体系的に学べる教材などがないことから、食肉業界から期待される講座だといえる。
◆全国6ヶ所で「1日学習集会」を開催
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熱心に検討する検討委員会
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同校の通信教育は、「ポイントを押さえた解説で大変分かりやすい」とか、添削指導は「間違えた箇所をテキストのどの頁に該当するか詳しく指導いただき、復習するときに大変役に立った」「的確な指導を受け、自分自身が向上していくのが分かり嬉しかった」など受講者から高い評価を得ているが、今回のリニューアルによって、その評価はさらに上がるのではないだろうか。
さらに、いままで3月に実施しているスクーリング(3泊4日)に加えて、同校まで来れないとか時間がとれない受講生のために、今年から全国6ヶ所程度で「1日学習集会」を実施(無料)し、受講生への便宜をはかることにもしている。現在、予定されているのは、福岡(10月2日)、札幌(10月15日)、名古屋(10月18日)、仙台(11月6日)、大阪(11月8日)、東京(11月12日)の6ヶ所となっている。
17日に開かれた「検討委員会」でも、食肉流通業務実践コースのリニューアルについては「大変にけっこうなことだ」と全委員から支持する意見がだされた。また、「原価計数管理コース」の新設についても、「原価管理を深く掘り下げ、現場で実際に計算できる」と好評だった。
◆短期講習会・セミナーもさらに充実
また、食肉に関する基礎から応用までの知識と技能を短期間で学習する「短期実務者講習会」や「セミナー」についても、
○と畜解体実務研修で品質レベルの向上をはかる「と畜解体処理コース(豚)」(9月16〜20日)
○安心システム・トレーサビリティを学ぶ「食肉フォーラム」(7月23日東京、7月29日大阪)
○衛生管理を分かりやすく学習する「食品衛生管理向上講習会」(9月4日東京、9月11日大阪)
○必須基礎知識を速習する「食肉基礎知識速習セミナー」(11月5日大阪、11月7日仙台)
を今年度から新たに加えた。
これによって、短期実務者講習会は9コース、講習会・セミナーは8となり、昨年度よりさらに充実したものとなった。
◆最新技術を活用した教材開発も視野に
多田重喜校長は、検討委員会の挨拶で「開校30周年を迎え、歴史とともに成長していく。今後は、通信教育のテキストをペーパーからCD−ROMやインターネットなど、最新の情報技術を活用して動きのある分かりやすいものにしていきたい。その先駆けとして、学校の紹介や受講生の募集で、ホームページを最大限に活用していくが、いずれはインターネットを活用した講座も視野に入れて“教育の進化”をはかっていきたい」と抱負と決意を語った。
なお、この通信教育に協力し「通信教育講座検討委員会」メンバーの団体は以下の通り。
全国食肉センター協議会、全国食肉事業協同組合連合会、(社)全国スーパーマーケット協会、全国農業協同組合連合会、東京食肉市場卸商協同組合、東京食肉買参事業協同組合、(社)日本食肉協会、(社)日本食肉市場卸売協会、(社)日本セルフ・サービス協会、日本チェーンストア協会、日本ハム・ソーセージ工業協同組合。オブザーバーとして、農水省食肉鶏卵課、農畜産業振興事業団。
通信教育の詳細な内容については同校ホームページ http://group.lin.go.jp/fma/ を。
問い合わせその他は、電話0270-65-2571 FAX0270-65-9274 へ。 (2003.6.26)