農水省は6月20日に開催した第4回食の安全・安心のための政策推進本部(本部長:北村副大臣)会合で「食の安全・安心のための政策大綱」を決めた。
この大綱は、国民の健康保護を最優先するとした食品安全基本法に基づき農水省の食品安全行政の指針として定めたもの。大綱のねらいを「消費者の視点に立った安全・安心な食料の安定供給」と「政策づくりへの国民の参画」の重要性について“意識改革を徹底”するとしている。
そのうえで政策展開の基本的考え方として、(1)消費者・生産者・事業者など関係者の意見を反映した施策づくり、(2)食品の生産から消費まで全体を考え施策づくり、(3)生産者・事業者による安全・安心な食品供給の促進、(4)的確な危機管理をあげている。
具体的な施策では、リスク管理、リスクコミュニケーションの推進がある。7月の農水省組織再編で新設される消費・安全局が、リスク管理を統一的に行い、他の部局は同局と調整のうえで、食の安全・安心確保策を進める体制とする。また、「消費者情報官」を設置し、情報提供、意見交換などリスクコミュニケーションに努めるほか、食料・農業・農村政策審議会に「消費・安全分科会」を設け、委員に消費者などの参画も進める。
危機管理体制への対応では「食品安全危機管理官」を設置し、食品安全委員会や厚労省などと連携し政府全体の危機管理に対応する。
産地段階のリスク管理策としては、農薬や肥料などの使用状況の記録・保管の指導徹底や残留農薬などのモニタリング調査や生産者の取り組み状況調査を行い、消費者へ情報提供する。
生産資材の適切な管理、使用を推進するため▽食品安全委員会の科学的評価を受けたうえで資材を登録・承認、▽問題のある資材の回収命令など事故発生時に実施できる措置の充実、▽農業資材の使用実態の調査・監視の強化などを方針として掲げている。
そのほかトレーサビリティシステムを導入しようとする産地・JAなどの取り組みも支援する。
食の安全性確保をめぐっては、生産履歴の記帳など生産者側の負担やコストがかかることが懸念されるが、大綱では生産者と消費者が意見の交換につとめ、施策づくりの過程では「いくつかの選択肢を示す」としている。
この点について「どこまで安全性のレベルを求めるか、効果やコストも考えて対策を考える方針を示したもの」と農水省は説明している。 (2003.6.26)