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販売高8期ぶり好転 総合JA経営速報 (7/17)  

 平成14年度のJAの販売品販売高は全国集計で前年度比1.4%増となった。JA全中が7月17日発表した14年度総合JA経営速報によると、増加に転じたのは8期ぶり。「背景にはBSE(牛海綿状脳症)の悪影響が1段落したこと、野菜の価格が堅調であったことがあると思われる」とした。明るい兆しとはいえるが、一過性の好転かどうか速報段階では判断が難しいともいう。
 集計対象JA数は843で、昨年12月期と今年3月期の本決算を調査した。
 事業総利益も増加し、販売事業(経済事業)と信用事業がここ数年の減益傾向から脱して増益に転じた。
 その中心は信用事業で、事業総利益が前年度比5.3%と約370億円の大幅増益となった。
 これは、貸出利息が低いことなどの影響で事業収益が前年度比3.5%と約530億円の減益となったにもかかわらず、それ以上に信用事業費用が前年度比11%と約900億円も減少したことによる。
 その要因としては、貯金利息支払いが約500億円減少し、併せて前年度に大きかった貸倒引当金や不良債権償却が14年度は減少、また有価証券の減損処理費用の減少などがあるものと思われるとした。
 事業別では、信用事業で貯金が前年度比1.3%と引き続き増えた。内訳は定期性貯金が1.8%減、要求払い型貯金が10.5%増となった。要因は定期性貯金にかかるペイオフ解禁や低金利の影響と見られる。
 貸出金は融資の償還と回収、新規貸出の伸び悩みなどから0.7%減で3年連続の減少となった。
 共済事業は長期共済保有高が1.2%減で3年連続の減少となった。新契約は前年度を上回ったものの、それ以上に満期・解約の増加が主因で保有契約を減少させている。
 経済事業は販売高が好転したが、しかし購買品の供給高は、生産資材が3.7%、生活物資が5.8%の減少で、全体では4.5%減となり、6期連続の前年度実績割れとなった。
 損益は、近年の減益傾向から脱して、事業総利益は0.9%と約190億円の増益で収支が改善した。事業管理費は3%減。中でも人件費は3.2%と約470億円も減少した。
 この結果、事業利益は213.7%増と約790億円の大幅増益となった。
 しかし13年度に初の前年度実績割れとなった共済事業総利益は、引き続き前年度比0.6%減。
 事業利益に事業外損益を加減した経常利益は89.4%と約780億円の増益。 しかし最終利益である当期剰余金は1.5%(約10億円)増にとどまった。これは13年度には積み増した繰り延べ税金資産を今3月期では取り崩したため。
 組合員数は817万7073人で0.3%減。うち正組合員数は463万8526人で1.1%減と減少に歯止めがかからない。准組合員数は0.7%増。
 JAの職員数も引き続き人件費減少率と同じ3.2%減となった。 (2003.7.23)


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