農水省と米国農務省は8月9日、カナダでのBSE発生にともない米国からの輸出牛の安全性確保に関する協議結果を公表した。
カナダで5月20日にBSEが発生して以来、日本はカナダ産牛肉などについて禁輸措置をとる一方、米国経由でカナダ産牛肉が輸入されないよう米国に原産国表示などの対応を求めてきた。
今回の合意内容は、(1)米国農務省が米国内でと畜された牛肉と輸入牛肉を分離するためのガイドラインを作成、(2)食肉業者からの申請に基づきガイドラインを遵守した食肉処理がなされているかどうかを実地検査、(3)認証した業者について「この積み荷は米国内でと畜された牛に由来する肉である」と記載した輸出証明書をロット単位で発行する、というもの。牛肉だけではなくソーセージ、缶詰などの加工品も対象となる。
わが国は輸出証明書のついている牛肉、牛肉製品のみの輸入を認める。同措置は9月1日から実施予定。
この牛肉輸出証明プログラムのガイドラインは、米国産牛の処理施設を専用にしたり、処理ラインを区分するなど内容だという。違反には罰則もある。
農水省は米国に担当者を派遣し、このプログラムが的確に機能するかどうかの最終確認を行ったとしており、原産国表示は実施されないが「カナダ産牛肉が米国経由で日本に輸入されないという目的は達成できる」として合意した。
一方、米国ではカナダからの生体牛の輸入禁止措置は継続するが、9月1日からは牛肉の輸入は再開する。
BSE発生前の2002年の統計では、米国はカナダから169万頭の生体牛を輸入、牛肉は34万トンを輸入していた。今回の措置で米国はカナダからの牛肉輸入を解禁するが、禁輸解禁国ははじめてだという。 (2003.8.11)