交雑種(F1)の牛肉を和牛と偽っていた日本フードパッカー(株)(本社=青森県百石町)と親会社の日本ハム(株)に対し、農水省は9月17日、JAS法の表示基準に違反するとして原因の究明やチェック体制の強化などを指示。これを受けた両社の措置を10月17日までに報告するように求めた。
日ハム子会社の日本フードパッカーは諫早工場(長崎県諫早市)が出荷した交雑種の牛肉のうち50トン(159頭分)を「和牛」と表示。日ハムなどを通じて量販店など150社に販売していた。期間は平成12年から14年10月まで。その後は不正表示をやめている。
交雑種は一般的に乳用種を母に、和牛を父として生産される肉用牛のこと。一方、和牛と表示できるのは黒毛和種、褐毛(あかげ)和種、日本短角種、無角和種の4種類に限られ、格付けも、また価格も高い。
農水省は機構改革で7月から消費・安全局を新設。地方農政局には専任部署を置き、2000人体制で安全や不正をチェック。今回は諫早工場と日ハム本社のほか小売店まで任意調査をして不正表示が「意図的である」ことを確認した。
また諫早工場が日ハムに出荷した牛肉の中にはJAS法違反だけでなく、C級の肉をB級に変更するなど品種や肉質の不正格付けが663頭分あった事実もつきとめた。
交雑種を和牛と偽ったのは「実際のものより著しく優良または有利と誤認させる用語」(優良誤認)の表示をしてはならないという生鮮食品表示基準の禁止事項に違反する行為だが、格付けの変更は違反とはならないため別途対応する。
同省はフードパッカーの社長と日ハムの専務を呼んで局長から指導文書を手渡したが、社長は不正表示の原因を「諫早工場長の個人的な行為だ」と説明した。
日ハムは昨年10月に不正行為をつかみながら、十分な内部調査を怠り、また事実の公表や納品先への説明も不十分だった。同社の別の子会社は輸入肉を国産肉に偽装してBSE(牛海綿状脳症)対策の買い上げ事業を悪用し、昨年夏に処分を受けたが、再びグループ会社の不正が発覚した。 (2003.9.18)