■肉骨粉規制後の出生
国内で9頭めとなるBSE患畜が11月4日に確認された。この牛は兵庫県で14年1月13日に生まれ、その後、広島県福山市で肥育されていたホルスタインの雄(去勢)。福山市の食肉衛生検査所の一次検査(エライザ法)で陽性だったため、国立感染症研究所が確認検査を行い、ウエスタンブロット法で陽性でBSEと確認された。病理組織検査と免疫組織化学検査の結果は陰性だった。
と畜された月齢は21か月でわが国でこれまで確認されたBSE患畜のなかではもっとも若く、世界的にも例がないとされる。
10月に確認された8頭めは生後23か月で、従来とは異なる非定型例とされたが、今回は従来型と判断された。牛への肉骨粉の給与禁止は13年9月で、今回の牛は規制後に出生したことになる。
従来型であれば飼料からの感染が疑われるが、規制後に肉骨粉が使われたとは考えられないことから農水省は「どこかで交差汚染が起きた可能性も否定できいない」という。今後、給与された飼料などの調査を従来どおり実施していく。
■全頭検査による新知見
わが国ではBSE発生の確認後、全頭検査体制をとっている。これまでは30か月齢未満の牛は安全といわれていることから、ヨーロッパでは全頭検査は行われていないが、日本の検査体制で若い牛からもBSEが確認されたことは「国際的にも新しい知見」(農水省)が得られたことになり、海外のBSE対策にも影響を与えるとみられる。
全頭検査は13年10月18日からスタートし、今年10月25日までに約247万頭がと畜されスクリーニング検査された。このうち6割近い約145万頭が30か月齢未満だ。若い牛からBSEが2例確認されたことからも、全頭検査体制の必要性を示している。