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資材費削減を前面に全農が経済事業改革の基本方向 JA支援も重点 (5/29)

 JA全農は、経済連との統合効果がまだ十分に発揮されていないなどの声がある中で、実質的な事業2段の実現や経営体質の強化に向けた「経済事業改革の基本方向」を5月27日発表した。今秋開くJA全国大会議案に反映する。全農はすでに35経済連と統合し、各都府県本部を設置した。基本方向は▽これら各本部と全国本部の一体的運営を強め、事業展開を重点化し▽事業の広域化・県域一体化や会社化により事業2段を実現することなどを打ち出した。事業再編で合併JAに統合メリットを還元できる体制構築を目指す。
 基本方向は5つの課題に分かれ、第1に生産資材コストの削減を掲げた。これまでのような全国一元の仕入れは見直す。広域・県域ごとに商品群と仕入れ条件を見直し、また仕入れ先を絞り込んで地域実態に応じた仕入れ価格を獲得し、奨励金の価格算入など弾力的な供給価格を設定できるようにする。さらに肥料工場の稼働率向上など施設の一体的活用や、物流拠点の整備による合理化・ネットワーク化を進める。
 一方、全国本部の機能は行政対応、企画・調整、輸入・仕入れ、研究開発などに特化する。
 2点目には、安全・安心な国産農畜産物の販売体制確立を挙げた。委託販売と市場販売は、受け渡し・代金決済・共同計算などの事務を県本部などに集約化、価格変動などに対応する。
 地産地消やJA主体の販売などにともなう合併JAの集荷・分荷機能の向上に合わせて事務を合理化する一方、全国本部と県本部の一体化で大手量販店などに対する営業力を強める。
 また全農の直販事業(園芸・畜産)の会社化と東西パールライス会社の機能拡充で流通コストを削減し、産地動向・販売ロット・販売先に応じた多様なルートで販売力を強化する。
 大消費地では販売拠点を核として量販店や中・外食産業、食品メーカーへの総合販売を拡大する。
 3点目はJA経済事業の補完・支援体制の整備だ。JA単独では収支改善や競争力の強化に限界がある事業、また生活関連・農業機械・物流など継続困難な事業は、全農が広域会社化・県域一体化による事業の受託・移管を提案する。
 とくにAコープや、環境悪化が想定されるSS・LPガス事業は広域会社に集約・移管して競争力を高める必要があるとした。
 4点目には統合効果を還元するための全農組織のスリム化と一体的運営を挙げた。統合メリットを合併JAと組合員に還元するには全国本部と都府県本部の一体化が不可欠であるため、その手段として事業本部制の導入を検討する。
 競争力を強化できる事業は広域会社化し、機能を特化した全国本部と一体的に運営する。
 さらに管理部門は県域管理機能をできる限り全国本部に集約し、業務の外部化を含めスリム化する。要員も大幅に削減する。
 5点目は広域(あるいは県域)会社への事業機能移管だ。広域会社設立(または既存会社との合併)は実質的な事業1段に近い形への転換をねらう。
 最も競争の激しいAコープなどの小売業(生活関連事業)ではJAと全農の事業を広域会社に移管すべきだとの判断を示した。
 一方、県本部と全国本部には約250社の関連会社があるが、これを半数程度に再編する方針だ。
 これら基本方向に基づく事業別の改革具体策は7月を目標に策定し、3か年計画(17年度まで)の中で来年度以降の事業計画に反映し、実行していく。
 なおJA全中の「経済事業改革の指針」案は農協改革のための組織協議案だが今回の「基本方向」は全農改革のためのものとして、その改革具体策をJA全国大会議案に反映し、全体としてJAグループ経済事業の改革方針とする。 (2003.5.29)



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