日本農業の「質」を高めるには新たなリスク管理が必要とJA全中は、営農経済事業担当のJA役職員向けに「食の安全・安心に応えるJAのリスクマネジメント」という入門書を先に発行し、活用するJAが増えている。
JAグループはすでに▽法令順守(コンプライアンス)活動▽安全防除運動▽生産履歴記帳運動といったように個別にリスク管理活動をしているが、今後は、これらを系統立てて実践し、管理の漏れを防いでいこうと解説している。
効果的に管理を実践する単位としてはJAの生産部会が最適であるとの考え方も打ち出した。例えばコメと野菜のリスクは異なり、野菜にしても種類、産地、栽培方法で、それぞれリスクが違うからだ。
同書は管理の仕組み(体制)整備と、意識(人間)の徹底の両面にわたる。
情勢では、農薬取締法などの法令や、消費者の目が厳しくなったことなどによるリスクの増加や深化、また履歴記帳にともなって取引先との約束が果たされなかった時の責任範囲など新たなリスクを挙げた。
そしてリスク予防の実施方法を解説した。さらに危機発生時に敏感に対処できる「リスク感性」がリスクマネジメントの出発点であるという強調とともに、その「感性レベル」を個々にチェックできる問題集と点数表、さらに無登録農薬の使用発覚ドキュメントをめぐる演習問題もつけ、実践的な構成だ。
コンプライアンスではJA全農のマニュアルから抜粋したJA営農経済事業に関連する法令一覧がある。
A5版、80ページ、800円(税・JAグループ内送料込み)。申し込みはJA都道府県中央会(食の安全・安心担当)。 (2003.8.12)